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【石油・天然ガス】

中国がサウジとの石油貿易条件の改訂に着手 人民元での原油決済図る (17/06/05)
2017/6/5
中国【石油・天然ガス】

 中国は最近、サウジアラビアとの原油貿易契約条件の改訂に着手した。中国はサウジとの原油貿易において人民元で決済する案について検討している。アナリストによると、人民元の国際化計画は国際通貨市場における米ドルの優勢に直接の脅威を及ぼす。

 もし中国とサウジとの間に人民元による貿易システムが完成すると、それはオイルダラーの国際構造の弱体化を意味する。米ドルによる石油決済はこれまでグローバル金融システム全体を支配してきた。

 換言すれば、オイルダラーシステムの影響力が徐々に弱まりつつある主要な原因は、世界的範囲で幅広く使用される基軸通貨としての米ドルの影響力低下にある。こうした現象は大英帝国の衰退に伴ってポンドの地位が弱くなったことと同様である。国際金融市場における米ドルの影響力の衰退過程は極めて長期にわたって続く公算であるが、中国は人民元で石油を直接購入する貿易システムによって、米ドルの衰退を加速させることになろう。

 中国は15年前に石油の自給自足時代が終わり、サウジからの原油輸入を開始した。中国は現在、サウジから原油を購入する他の諸国と同様に米ドルで決済しなければならない。今日に到るも中国は依然、サウジからの原油を人民元ではなく米ドルで購入しなければならない。このことは人民元の国際化にとっては大きな障害である。

 2010年から現在までの間に中国の原油輸入額は倍増した。中国は今や米国を抜いて世界最大の原油輸入国になった。

 中国は原油輸入の拡大に伴い、米ドルではなく人民元によって国際原油貿易を決済する計画を日程に上げ始めた。中国はそのため、サウジと貿易交渉を開始しており、この交渉には国際原油貿易の決済に使用する通貨も対象になる。交渉過程において、中国はサウジからの原油輸入を絶えず引き下げる戦略を交渉カードにする。

 現在、中国の原油輸入先上位3ヵ国はロシア、サウジ、アンゴラであるが、中国はその他にもイラン、イラク、オマーン等の産油国からも原油を輸入しており、原油サプライチェーンを分散して、単一供給源への依存を減らしている。中国の原油総輸入量の中でロシアからの輸入は過去数年間で5%から15%に急上昇した。現在、ロシア、イラン、イラク、オマーン等からの輸入の比率が上昇し、サウジからの輸入の比率は下がり始めている。

 ロシアから中国への原油輸出額が上昇している原因の一つに、国際貿易と国際金融サービスの2つの分野に非常に強い相関性が存在していることが挙げられる。過去数年、中国はロシアとの貿易関係を強化し、今では中国はロシアから原油を購入する際に人民元で決済している。一方、ロシアも人民元によって中国市場から商品を購入している。

 商品貿易だけでなく、ロシア政府は過去半年内に北京にロシア銀行の支店を設、ロシアはこの支店を通して、手持ちの人民元を使って上海取引所で黄金を購入することが出来る。つまり、中国とロシアの原油貿易は黄金が裏書していると言える。

 サウジが人民元で原油代金を受け取ることを拒否した場合、中国原油市場におけるサウジの地位はますます周縁化する。一方、人民元で原油を購入する国際貿易システムを受け入れた場合、サウジはオイルダラーの国際貿易システムから徐々に離脱しなければならず、また、米ドルに対する依存からも徐々に脱却することになる。サウジが中国原油市場においてシェアを維持しようとするなら、そうするしかない。

 もしサウジが人民元決済を受け入れたならば、オイルダラーの国際貿易システムは瓦解を開始し、将来は人民元で原油を決済する国際貿易システムがグローバルエネルギー市場の構造を徹底的に覆すことになる。

 (中国能源網 6月5日)