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中国
【石油・天然ガス】

一部地域で石油製品の価格戦が勃発 中国製油産業はモデルチェンジが急務に (17/06/07)
2017/6/7
中国【石油・天然ガス】

 中国石油化工(SINOPEC)と中国石油天然ガス(PetroChina)の大手2社が一部地域で石油製品価格戦に打って出た。ここ数年、時折石油製品値下げのニュースがあるが、今回は値下げ幅が大きく、供給過剰ギャップを顕現している。このことは製油産業がモデルチェンジとグレードアップを迫られていることを示している。

 2015年に原油輸入権と輸入原油使用権が部分的に開放されて以来、地方製油所は極めて高い競争力と衝撃力を示し、中国の製油産業の重要な構成要素になった。多数の製油事業が相次いで稼動しているため、2017年以来、中国の製油産業は構造的過剰状態に置かれている。研究機関の予測によると、2020年には中国の製油能力の構造的過剰は1億トンを超える。

 一方、地方製油所は価格優位と機敏な経営によって、今やシノペックやペトロチャイナとの競争局面を形成している。こうした点から見ると、現今の値下げは企業が市場シェアを獲得する止むを得ない措置になる。しかしながら、実際には価格戦は市場シェアをめぐる争いに過ぎす、製油産業が生産能力過剰局面から脱却して真の意味で活路を見出すには、構造調整とパターンの転換を進めるしかない。

 第1に、引き続き過剰生産能力の解消に力を入れる一方、高効率の生産能力を奨励して、製油能力全体を最適化しなければならない。関係政府部門はマクロ調整を強化し、計画や許認可を適切に行って、製油能力拡張のスピードを下げ、製油産業の参入基準と規模の要件を調整すべきである。先進的製油能力の建設と発展を促進し、大型で先進的な石油化学一体化事業の建設を整然と推進する。政府部門の保護や地方保護主義を打破して、老朽化生産能力の淘汰を決然と進め、過剰生産能力を解消し、石油製品の品質を高め、汚染排出を減らす。

 第2に、製油企業の「燃料型」から「化学型」への転換を加速し、産業チェーンを延伸する。中国のハイエンド石油化学材料の自給率は極めて低く、製油企業は基礎化学原料製品の比率を出来る限り高めて、下流の産業に対しもっと質の高い原料を供給しなければならない。そうすることで産業全体の効率と収益を向上させ、モデルチェンジとグレードアップを促進するのである。そして、大量の資金を投入して、製品のイノベーションを進め、ハイエンド石油化学製品の国産化率をさらに高める。

 第3に、「一帯一路」イニシアチブと連携して、「走出去」(対外進出)を加速する。「一帯一路」沿線には中国の石油企業が多数の海外投資協力エリアを設けており、累計投資額は海外投資総額のほぼ半分を占める。「一帯一路」沿線諸国は製油産業の発展水準が一様でなく、石油製品の自給程度も異なる。中国の製油産業の「走出去」にとっては好機であり、国内の過剰生産能力の解消や製油産業の生産経営効率の向上にとっても有効である。互恵とウィン・ウィンを基礎に製油産業の「ナショナルブランド」を構築する。

 中国の経済規模のさらなる拡大に伴って、製油産業の発展の余地は依然大きい。当面の鍵は、過剰生産能力を適正かつ有効に解消し、製品構造の最適化とグレードアップを促進することにある。そうすることでようやく石油製品需給のバランスを科学的に取ることが可能になる。

   (捜狐 6月7日)