1. HOME
  2. アジア 【新エネルギー】

アジア
【新エネルギー】

タイ、電気自動車(EV)の台頭は自動車部品サプライチェーンの混乱をもたらすか(17/6/28)
2017/6/28
アジア【新エネルギー】

 アジア各国の電気自動車(EV)の普及が進み、各国政府は次世代の自動車産業に投資を呼び込むためにインセンティブを与えている。中国では、約110万台のEVが導入されており、2020年までに500万台に拡大する計画を進めている。インドは2030年までに電気自動車の普及率100%を達成するという野心的な目標を掲げている。タイ政府は、2036年までに120万台のEVを導入する目標を設定している。

 この急速なEV転換の推移によって、従来型の自動車部品のサプライチェーンに混乱を及ぼすことが恐れられており、人々はこれを「EVショック」と呼んでいる。従来型の自動車からEVへの転換を行うためには、従来の部品を200個以上交換しなければならない。バッテリーはEVの心臓部であり、その性能がEVの走行距離、充電時間、価格の決定に大きな影響を与える。EVの増加に伴ってバッテリーへの需要が増加し、これを受けて自動車部品会社がバッテリー製造に移行しようとする動きも起こってくるものだが、需要増が進むとバッテリーの基礎部品であるバッテリーセルを一般化せざるを得なくなるため、魅力的な商品という立場から遠ざかってしまう。バッテリー以外の自動車部品についても同じことが起こるため、結論としては各部門の自動車部品の製造会社がバッテリー生産部門に流入することは賢い選択ではないと言えるだろう。

 代わりに、部品生産者は自動車全体のうち重要なパートを担う自身の仕事における付加価値と利益の増加のためにできることを考えていくべきである。これによって、EVの部品および構造全体についての価値を高める動きに繋がり、それが車両効率と性能の向上をもたらすことになる。

(Bangkok Post 2017年6月28日)