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【石油・天然ガス】

中国が巨費を投じてアフリカにフローティング式LNG事業計画 (17/06/28)
2017/6/28
中国【石油・天然ガス】

 中国は70億ドル近くを投じてアフリカにフローティング式液化天然ガス(FLNG)事業を建設する計画である。中国は、2020年代初頭に同事業が稼動する頃にはエネルギー市場が回復すると期待している。

 西側諸国の銀行界はFLNGに対して慎重である。海運や天然ガス市況が不景気であり、海底で採掘した天然ガスをフローティングプラットフォームで冷却し液化してタンカーに移すことは技術的にも難しいからである。

 もっとも、中国は戦略的見地からFLNGを推進する。目標は最もコストが低いフローティング式施設を販売するとともに、萌芽したばかりのFLNG技術開発で世界をリードすることにある。現時点で商業化段階に進んでいるFLNG事業は1件しかない。

 中国は都市大気環境の改善に力を入れているところであり、石炭に代わるクリーン・エネルギーとして天然ガスを必要としている。中国はロシアの北極海ヤマル半島の従来型LNG事業にも120億ドルの融資を提供している。一方、米国の対露制裁のため、西側の銀行はヤマル事業と距離を置いている。

 中国はアフリカの沿海FLNG計画3件にも資金支援を行っており、40億ドル近くの融資又は融資の承諾を行っている。また、別の2件の総額30億ドルに上るアフリカ事業では、融資を提供するだけでなく、生産プラットフォームも建設する計画である。

 「中国がFLNG事業投資に力を入れているのには建設とLNG消費の2つの側面がある。コストが小さくなればなるほど、LNGの潜在コストも低くなる」とNew Age社のSteve Lowden会長は言う。同社はコンゴ共和国とカメルーンの沿海部でFLNG事業を準備している。

 FLNG事業は資源が豊かであるが債務負担が大きいアフリカ諸国にとって吸引力を備えている。FLNG事業の生産コストは陸上天然ガス事業に比べてはるかに低く、一方、天然ガス価格は2013年までの10年間で4倍に増えた。

 FLNG事業は少なくとも理論的には実現可能である。しかしながら、現実にはFLNG技術は極めて複雑である。シェルのPrelude FLNG事業は世界最大のFLNG事業になるが、設備を陸上事業の4分の1の面積に圧縮しなければならない。

 波浪と海流も技術の難度を高める。

 Prelude FLNG事業の投資額は126億ドル、2018年の稼動を予定している。この事業はエネルギー価格が高止まりしていた時期の典型的な事業であるが、LNGスポット価格は2014年初頭以来、70%下落しており、今後もさらなる下落圧力を受けると予想される。オーストラリアと米国の新たな生産施設が供給を増やしているからである。

 (中国能源網 6月28日)