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中国
【新エネルギー】

世界的穀物危機を招いたのは誰か (08/03/13)
2008/3/14
中国【新エネルギー】

 2006年9月以降、特に2007年に入ってから、世界の主要穀物価格が急上昇している。例えば、米国の小麦輸出価格は1トン当たり50ドル高騰し、通年の上昇率は31%となった。トウモロコシ輸出価格は1トン当たり60ドル以上高くなり、上昇率は70%に上っている。一部の国では食糧問題による混乱も発生している。世界的な穀物危機を招いた主犯は誰なのか?

 気候変動に起因する生産低下

 過去100年間で北半球の気温は0.76度上昇し、穀物生産に脅威をもたらしている。国連が最近発表したレポートは、東アフリカの一部地域で穀物生産量が70%低下すると予想している。2007年にオーストラリア、ウクライナ、カナダ等の生産国は天候悪化により生産が落ち、穀物在庫が急減した。気候変動に加え、世界の人口が増加を続け、穀物需要は着実に増大している。需給のアンバランスは穀物価格の持続的な高騰をもたらしている。

 穀物を食うバイオエタノール

 事実上、穀物危機の原因はエタノール燃料工業に帰結すると見られている。中国農業科学院の黄飛翔研究員は、「世界的穀物危機の主犯は、トウモロコシでエタノールを作っているアメリカだ」と指摘する。北京東方艾格農業諮詢公司の上級アナリストである陳樹偉氏は、世界の穀物供給の逼迫は、油価の高騰によって一部の国がバイオ燃料開発を進め、特に多くのトウモロコシがバイオ燃料に消費されたことに原因があると言う。

 世界最大のトウモロコシ生産国である米国ではバイオエタノール生産に使用するトウモロコシが前年比58%増加した。また、バイオディーゼルも盛んに生産され、ナタネの作付面積が急拡大したため、小麦の作付面積に影響し、引いては小麦の供給能力にも影響が及んでいる。

 国際食糧政策研究所の研究が示しているように、もし各国がバイオ燃料の生産を拡大すれば、2020年にはトウモロコシの国際市場価格は現在の1.7倍、砂糖は1.3倍、小麦は現在の1.2倍に上昇する。

 しかし、農産物や食品のCPIに占める比率が低く、穀物価格高騰による物価上昇圧力が小さい先進諸国にとっては穀物価格の高騰によるダメージは小さく、むしろ、穀物価格の全面的な高騰を利用して、農業助成の減額や廃止を進めて自国の農業問題を解決するチャンスでもある。穀物価格高騰にはそのような背景もあるのであり、世界的な生産の低下やバイオ燃料への使用によってこれほど大幅な価格高騰になるはずはないと、前出の陳樹偉氏は指摘する。

 (第一食品網 3月13日)