すでに世界の複数の国は燃油車(ガソリン・ディーゼル車)販売禁止の日程表を明確にしており、中国も燃油車販売禁止を日程に上げることになる。多くの自動車企業は次々と新エネ車の生産を拡大し、間もなく燃油車の販売を停止すると宣言した企業もある。
10月19日、中国の大手国有自動車製造企業の長安汽車は、2025年には従来型燃油車の販売を全面的に停止すると発表した。従来型燃油車の販売停止時期を明確にした中国の自動車メーカーは長安汽車が初めてである。
工業情報化部はすでに従来型エネルギー車の生産と販売を停止する日程表について検討を開始したことを明らかにしている。
中国の日程表は未確定であるが、大多数の国の燃油車販売禁止時期は2025〜2040年に集中している。例えば、オランダは2025年に燃油車の販売を禁止し、ドイツは2030年以降に従来型エンジン車の販売を禁止する。フランスは2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する。
では、中国の燃油車の生産と販売の停止はいつになるのか。新エネ車は完全に燃油車に取って代わることが出来るのだろうか。
日程表は海外を参考に出来ない
米国WSJの10月19日のウェブサイトの報道によると、大多数の中国の自動車メーカーは政府の政策の影響を受けて、電気自動車の生産を強化する。
報道によると、中国政府は国内外の自動車メーカーに対し2019年から新エネ車の製造義務を課す。中国の政策は2025年に中国の電気自動車の年間販売量を700万台として、自動車年間販売総量の約5分の1にすることを呼びかけている。
国務院発展研究センターの周宏春研究員によると、燃油車の生産と販売の停止は次のようないくつかの側面によって左右される。第1に、電気自動車の生産総量で燃油車に取って代わることが出来るのかどうか。第2に、電気自動車の関連施設の整備が追い付くのかどうか。第3に、環境標準の実施状況であり、「今後、環境要件が高くなればなるほど、このプロセス(燃油車販売禁止)も速くなる」。
中国汽車工業協会の統計によると、2016年の中国の自動車生産量は2,811.9万台、販売量は2,802.8万台であり、うち新エネ車生産量は51.7万台、販売量は50.7万台であった。すなわち、2016年の自動車総生産量の中で新エネ車は約1.8%を占めた。
充電パイルについては、工業情報化部の統計によると、今年4月時点の中国の公共充電インフラの総量は17.1万、うち公共充電パイルが1万本を超える地域は、広東、北京、江蘇、上海の4ヵ所だけであった。
「現段階では充電インフラは電気自動車の発展ペースに見合っていない」と中国電動汽車百人会の欧陽明高執行副理事長は指摘する。このことは公共充電インフラの配置が不合理であることを反映しており、第1に、充電した自動車が充電できる場所を見つけられないこと、第2に利用率が低い充電施設もあること示す。その上、現行の電気自動車は充電技術の要件がますます高くなっており、急速充電の関連施設は電気自動車の発展に追い付くことができない状況である。
そのため、燃油車の生産と販売の停止を短期間で実現することは難しいと周宏春氏は考える。また、周宏春氏によると、中国の1人当たりの収入や自動車保有量はいずれも外国との間に格差があり、そのため、日程表を単純に比較することは出来ない。技術の進歩の点から見て、転換のスピードは速くなるが、中国は国土が広く、人口が多いため、転換のプロセスには時間がかかる。
さらに、周宏春氏は「燃油車の使用に慣れた人が燃油車を購入し、しかも排出基準を満たしている場合、(燃油車の)淘汰には政策的なインセンティブが必要になり、しかもその間に一定のタイムラグがあるに違いない。つまり、(燃油車の)生産と販売を停止したとしても、市場には依然として燃油車が一定の間、存在することになる」と指摘する。
米国の大手消費者調査機関CR NRCのデータによると、消費者の新エネ車購入の積極性に影響する3つの要素は、価格が高いこと、充電インフラが不足していること、1回当たりの充電の航続距離が限られることであり、その比率は66%、60%、58%になる。
こうした局面を改善するため、英国の交通相は新たな自動・電気自動車法案を発表、S/Sに対し充電施設を付設して増加する電気自動車のニーズに対応するよう求めた。この法案は政府に介入の権限を付与し、全国で充電スポットを設けることを義務付けている。
外国が充電ステーションに着目するのに対し、中国は新エネ車産業の発展促進に力を入れている。9月28日、工業情報化部、財政部、商務部、税関総署、国家品質検査検疫総局は連名で《乗用車企業平均燃料消費量並びに新エネ車ポイント並行管理弁法》を公布した。
同弁法は企業の平均燃料消費量と新エネ車の2種類のポイント(クレジット)を設定するとともに、ポイント取引の仕組みを設けている。同弁法は2018年4月1日から施行される。つまり、自動車メーカーは自動車の燃油消費を引き下げてプラスのポイントを獲得するとともに、応分の新エネ車ポイントを取得するため、十分な量の新エネ車を販売しなければならない。
新エネ車は、この「デュアルポイント」政策だけでなく、ナンバープレートの抽選や補助金の面で特殊な優遇措置を受けている。
「中国は国際的なトレンドに順応して、燃油車から新エネ車に転換しなければならないが、同時に産業発展の高度化の流れと一般庶民の生活のニーズもともに考慮しなければならない」と周宏春氏は指摘する。政府は新エネ車と従来型燃油車のコストパフォーマンスの関係を調節することを通して、市場を誘導し、新エネ車の発展ペースを加速するのが良い。
但し、新エネ車の発展は政府の誘導に依存するだけではいけない。中国工程院の陳清泉院士によると、燃油車には依然として他に代えられないものがあり、新旧エネルギー車の交代は市場によって決定しなければならない。
具体的な転換の実施について、陳清泉院士は次のような観点を採っている。段階と地域に分けて、一歩一歩進める必要がある。この期間においては、関係政府部門は業界や学界の声をより多く汲み取って、合理的に政策を策定しなければならない。例えば、従来型燃油車の販売を禁止する場合、北京、上海、広東、深圳地区から先行実験を展開するのが良い。
(中国能源網 10月30日)
すでに世界の複数の国は燃油車(ガソリン・ディーゼル車)販売禁止の日程表を明確にしており、中国も燃油車販売禁止を日程に上げることになる。多くの自動車企業は次々と新エネ車の生産を拡大し、間もなく燃油車の販売を停止すると宣言した企業もある。
10月19日、中国の大手国有自動車製造企業の長安汽車は、2025年には従来型燃油車の販売を全面的に停止すると発表した。従来型燃油車の販売停止時期を明確にした中国の自動車メーカーは長安汽車が初めてである。
工業情報化部はすでに従来型エネルギー車の生産と販売を停止する日程表について検討を開始したことを明らかにしている。
中国の日程表は未確定であるが、大多数の国の燃油車販売禁止時期は2025〜2040年に集中している。例えば、オランダは2025年に燃油車の販売を禁止し、ドイツは2030年以降に従来型エンジン車の販売を禁止する。フランスは2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する。
では、中国の燃油車の生産と販売の停止はいつになるのか。新エネ車は完全に燃油車に取って代わることが出来るのだろうか。
日程表は海外を参考に出来ない
米国WSJの10月19日のウェブサイトの報道によると、大多数の中国の自動車メーカーは政府の政策の影響を受けて、電気自動車の生産を強化する。
報道によると、中国政府は国内外の自動車メーカーに対し2019年から新エネ車の製造義務を課す。中国の政策は2025年に中国の電気自動車の年間販売量を700万台として、自動車年間販売総量の約5分の1にすることを呼びかけている。
国務院発展研究センターの周宏春研究員によると、燃油車の生産と販売の停止は次のようないくつかの側面によって左右される。第1に、電気自動車の生産総量で燃油車に取って代わることが出来るのかどうか。第2に、電気自動車の関連施設の整備が追い付くのかどうか。第3に、環境標準の実施状況であり、「今後、環境要件が高くなればなるほど、このプロセス(燃油車販売禁止)も速くなる」。
中国汽車工業協会の統計によると、2016年の中国の自動車生産量は2,811.9万台、販売量は2,802.8万台であり、うち新エネ車生産量は51.7万台、販売量は50.7万台であった。すなわち、2016年の自動車総生産量の中で新エネ車は約1.8%を占めた。
充電パイルについては、工業情報化部の統計によると、今年4月時点の中国の公共充電インフラの総量は17.1万、うち公共充電パイルが1万本を超える地域は、広東、北京、江蘇、上海の4ヵ所だけであった。
「現段階では充電インフラは電気自動車の発展ペースに見合っていない」と中国電動汽車百人会の欧陽明高執行副理事長は指摘する。このことは公共充電インフラの配置が不合理であることを反映しており、第1に、充電した自動車が充電できる場所を見つけられないこと、第2に利用率が低い充電施設もあること示す。その上、現行の電気自動車は充電技術の要件がますます高くなっており、急速充電の関連施設は電気自動車の発展に追い付くことができない状況である。
そのため、燃油車の生産と販売の停止を短期間で実現することは難しいと周宏春氏は考える。また、周宏春氏によると、中国の1人当たりの収入や自動車保有量はいずれも外国との間に格差があり、そのため、日程表を単純に比較することは出来ない。技術の進歩の点から見て、転換のスピードは速くなるが、中国は国土が広く、人口が多いため、転換のプロセスには時間がかかる。
さらに、周宏春氏は「燃油車の使用に慣れた人が燃油車を購入し、しかも排出基準を満たしている場合、(燃油車の)淘汰には政策的なインセンティブが必要になり、しかもその間に一定のタイムラグがあるに違いない。つまり、(燃油車の)生産と販売を停止したとしても、市場には依然として燃油車が一定の間、存在することになる」と指摘する。
米国の大手消費者調査機関CR NRCのデータによると、消費者の新エネ車購入の積極性に影響する3つの要素は、価格が高いこと、充電インフラが不足していること、1回当たりの充電の航続距離が限られることであり、その比率は66%、60%、58%になる。
こうした局面を改善するため、英国の交通相は新たな自動・電気自動車法案を発表、S/Sに対し充電施設を付設して増加する電気自動車のニーズに対応するよう求めた。この法案は政府に介入の権限を付与し、全国で充電スポットを設けることを義務付けている。
外国が充電ステーションに着目するのに対し、中国は新エネ車産業の発展促進に力を入れている。9月28日、工業情報化部、財政部、商務部、税関総署、国家品質検査検疫総局は連名で《乗用車企業平均燃料消費量並びに新エネ車ポイント並行管理弁法》を公布した。
同弁法は企業の平均燃料消費量と新エネ車の2種類のポイント(クレジット)を設定するとともに、ポイント取引の仕組みを設けている。同弁法は2018年4月1日から施行される。つまり、自動車メーカーは自動車の燃油消費を引き下げてプラスのポイントを獲得するとともに、応分の新エネ車ポイントを取得するため、十分な量の新エネ車を販売しなければならない。
新エネ車は、この「デュアルポイント」政策だけでなく、ナンバープレートの抽選や補助金の面で特殊な優遇措置を受けている。
「中国は国際的なトレンドに順応して、燃油車から新エネ車に転換しなければならないが、同時に産業発展の高度化の流れと一般庶民の生活のニーズもともに考慮しなければならない」と周宏春氏は指摘する。政府は新エネ車と従来型燃油車のコストパフォーマンスの関係を調節することを通して、市場を誘導し、新エネ車の発展ペースを加速するのが良い。
但し、新エネ車の発展は政府の誘導に依存するだけではいけない。中国工程院の陳清泉院士によると、燃油車には依然として他に代えられないものがあり、新旧エネルギー車の交代は市場によって決定しなければならない。
具体的な転換の実施について、陳清泉院士は次のような観点を採っている。段階と地域に分けて、一歩一歩進める必要がある。この期間においては、関係政府部門は業界や学界の声をより多く汲み取って、合理的に政策を策定しなければならない。例えば、従来型燃油車の販売を禁止する場合、北京、上海、広東、深圳地区から先行実験を展開するのが良い。
(中国能源網 10月30日)