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中国北方の複数の省がエタノールガソリンの普及に着手 従来型ガソリンの販売を来年次々と停止へ (17/12/08)
2017/12/8
中国【新エネルギー】

 発展改革委員会など15省庁は9月に《バイオエタノール燃料の生産拡大と自動車用エタノールガソリンの普及に関する実施方案》を通達したが、先般、天津市と山東省が他に先駆けて自動車用エタノールガソリン普及の実施方案を公布し、来年から従来型ガソリンの販売を相次いで停止することになる。

 天津市は2018年10月から市全体で自動車用エタノールガソリンの販売を開始する。山東省は2018年3月末までに8ヵ市でエタノールガソリンの普及を先行する。また、河南省はすでにエタノールガソリンの普及を進めており、河北省の多くの地区も使用を開始している。

 アナリストによると、天津や山東以外にも、北京・天津・河北及び周辺地区など大気汚染防止重点エリアもエタノールガソリンの普及を進める見通しであり、エタノールガソリン時代が始まることになる。

 《バイオエタノール燃料の生産拡大と自動車用エタノールガソリンの普及に関する実施方案》の要請に従って、北京・天津・河北及び周辺地区など大気汚染防止重点エリアは2018年からエタノールガソリンの普及を開始し、2019年にはフルカバーを実現する。そして、2020年には全国範囲で自動車用エタノールガソリンの普及を実現する。

 隆衆石化網のアナリストである丁旭氏によると、山東省と天津市がエタノールガソリンの普及を早々に打ち出した背景には、北京・天津・河北及び周辺地区の大気汚染対策が背景にある。エタノールガソリンは従来型ガソリンよりも環境保護に優れている。また、同地区には河南天冠、安徽豊原、山東龍力や、建設中の天津天冠などエタノール燃料生産企業があり、原料供給が保証されることもある。

 但し、各地のエタノールガソリン普及計画が予定通り実施されると、エタノール生産企業や流通企業、小売の末端にとっては一定の圧力になる。

 山東省と天津市の計画案によると、2つの地区のガソリン消費量は2020年に約1,300万トン/年になり、130万トンの燃料エタノールが必要になるが、これは中国の現在の燃料エタノール生産量の50%に当たる。

 丁旭氏によると、2020年に全国にエタノールガソリンを広げようとしても、800万トン/年余りの不足が生じる。生産能力の拡張はもとより欠かせないが、輸入政策にも変更があるかも知れない。例えば、燃料エタノールの輸入関税の引き下げなどであり、貿易企業にとってもチャンスになる。

 東方証券の研究レポートによると、中国の燃料エタノール市場は発展の余地が極めて大きい。国家能源局の第13次5ヵ年計画は2020年に燃料エタノール生産量を400万トンにすることを打ち出しており、現行の54%増になる。ガソリンのエタノール添加率を10%として試算すると、現行の供給量に比べると、エタノールの不足は940万トン近くになる。
 
 一方、生産企業については、山東省の地方製油所の大多数はエタノールガソリン配合の資格を未だ取得しておらず、エタノールガソリンの生産と販売を行うことが出来ない。遅くとも2018年4月までに、配合装置、配送インフラ、S/Sの貯蔵タンクなど専用施設の改修など、エタノールガソリンを対象にした計画配置を進めなければ、山東省の地方製油所は都市におけるエタノールガソリンのシェアを失うことになる。

 実験地でのエタノールガソリンの推進から10年余り、自動車用燃料が真の意味で打開を遂げるのかどうか、今後さらに見守る必要がある。

 (証券日報 12月8日)