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【電力】

崖っぷちの天然ガス発電 政府の価格制度が鍵に (08/03/24)
2008/3/25
中国【電力】

 資源の不足と価格高騰によって、天然ガス発電所はいずれも赤字に陥り、運転停止を余儀なくされる天然ガス発電所が続出している。

広州最大の天然ガス発電所である広州珠江天然気発電有限公司では、ガスの供給が不十分なため、合計78万kWの発電ユニット2基のうち、1基しか運転できない。同公司の天然ガス発電所は2007年に運転を開始したが、予期した収益を上げることが出来ないままである。親会社である広州控股は、石炭価格高騰による石炭火力発電部門の収益低下もあって、電力部門全体の利益率が低下している。
 
また、広州にある広州華潤熱電有限公司の天然ガス発電所はすでに運転を停止した。同社は、広東の天然ガスの主要供給源である大鵬公司の契約先ではなく、天然ガスを現物市場から買い入れるしかないが、現物価格があまりにも高くなっている上、品切れ状態にある。

河南省の鄭州燃気電廠はすでに長年にわたって運転休止状態にある天然ガス発電所である。休止の理由は天然ガスが供給されないからである。

西気東輸パイプライン沿線でこのような事態に陥った天然ガス発電所は1軒や2軒に止まらない。

西気東輸パイプラインが計画された当時、中国石油天然ガス集団(CNPC)は、天然ガス需要家が少ないことを懸念して、沿線の天然ガス発電所建設に対する投資を極力サポートした。また、既存の石油火力発電ユニットを天然ガス使用に転換する改造やコージェネレーションプロジェクトも進めた。2002年の段階で、第10次5ヵ年計画期に中国の天然ガス発電ユニットはほぼ1,000万kWになり、2010年までに2,000万kWに達すると宣伝されていた。

しかし、この数年、天然ガス需要が急増し、西気東輸パイプライン完成後は、供給が需要に追いつかない状況になった。沿線の民生用ガスを確保するにもも供給が不十分な状態である。そうなると、天然ガス発電所への供給は後回しになる。その結果、巨費を投じた天然ガス発電所は休止を余儀なくされ、或いは政府の要請により赤字経営を強いられているのである。

某石油企業の幹部は、「結局、国内の天然ガス価格が安すぎることに問題は帰結する」と言う。「そのため、石油会社は収益を上げることが難しく、必然的に巨費を投じて新たなガス源を開発しようとする意欲もなくなる。だが、ガス供給が不足すると、非難の矛先は石油会社に向けられる。政府が天然ガス価格形成の仕組みを完備すれば、価格に天然ガスの価値が反映され、天然ガス開発の展望も開ける」

発展改革委員会能源局の予測によると、今後20年、中国の天然ガス市場は急速に拡大し、天然ガス需要の年平均の伸びは15%を超える。第11次5ヵ年規画期末には天然ガス総需要量は1,000億m3以上になろう。しかし、需要がこれほど旺盛な一方で、供給がますます大きなネックになる。

中国の石油企業3大手の中でも、中国海洋石油(CNOOC)は天然ガス発電に最も力を入れており、2002年12月には全額出資子会社である中海油天然気及発電有限責任公司を設けた。しかし、「天然ガス価格決定メカニズムに問題があるため、国際油価が年々高騰する中でギャップはますます大きくなっており、天然ガス発電事業の発展は極めて大きな困難に直面している」とCNOOC関係者は語る。

また、中国石油化工(SINOPEC)の幹部も、国内の天然ガス価格が安いため巨大な需要が生まれている反面、天然ガス価格が安すぎるため、企業は天然ガス開発に前向きになれず、そのことが天然ガス供給不足の原因となっている。

「天然ガス発電所に対して長期契約の形で天然ガスを供給することは、天然ガス発電所が生き残るための最も直接的な方法になるが、現在の国情の下では、絵に描いた餅に過ぎない。結局、天然ガス発電所生存のための最も根本的な解決方法は、政府が合理的な価格決定の仕組みを構築することによって、企業の生存の余地を広げるしかない」と広東油気商会の呉清標事務局長は指摘する。

(華夏時報 3月24日)