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ガスプロム、欧州向け売上減で過去最大の損失
2024/5/2
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 天然ガス最大手のロシア国営ガスプロムが5月2日に発表した2023年12月期決算によると、最終損益6,290億ルーブル(約1兆400億円)の赤字に転落した。前の期は約1兆2,300億ルーブルの黒字だった。2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻に伴い、欧州各国がガスの「脱ロシア化」を進めたことにより、欧州への天然ガス輸出が急減し、収益が悪化した。ガスプロムが最終赤字を計上したのは1999年12月期以来24年ぶりで、赤字額は過去最大となった。


  同社のロシア国外でのガス販売による収益は、2022年の7.3兆ルーブルから2023年には2.9兆ルーブルに減少した。アナリストは、欧州での販売減が大きく響いたと指摘する。ロイターの試算によると、ガスプロムの欧州への天然ガス供給量は2023年に55.6%減の283億立方メートルと急減した。ガスプロムは2023年以降、輸出統計を公表していない。


  EUは、欧州各国で代替ガス源への切り替えを予想以上のスピードで進めており、欧州のガス輸入に占めるロシアのシェアは、侵攻前の2021年の40%から2023年には8%に低下したとしている。


  アナリストは、ガスプロム傘下の石油会社であるガスプロムネフチは、保有資産が親会社の4分の1であるにもかかわらず、昨年は、ガスプロムのガス事業とほぼ同額の売上をあげ、ガス部門の2022年の利益の3分の2に相当する利益をもたらしたと語る。ガスプロムの石油、ガスコンデンセート、石油製品からの利益は前年比4.3%増の41兆ルーブルに増加したが、この石油販売による利益でも赤字を部分的に相殺するにとどまり、損失をくい止めるには十分ではなかった。また、2023年にはガスプロムの営業コストと資本支出も増加したことで、さらなる圧力となった。


  ロシア政府とガスプロムは、欧州に代わるロシア産ガスの代替輸出先として中国が浮上し、中国の購入量が増加していると宣伝している。ただ、ウクライナ侵攻前の10年間の年間平均輸出量は2,300億立方メートルだったのに対し、2023年の輸出量は220億立方メートルにとどまっている。

Financial Times 5月2日)