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欧州のEVシフト、充電インフラ整備は順調、一方でEV販売は鈍化傾向?
2024/5/7
その他地域のエネルギー

 欧州交通環境連盟(T&E: European Federation for Transport and
Environment)が4月中旬に公表したレポートによると、EU加盟国では電気自動車(EV)の充電インフラ整備が順調に進む一方、EVの販売台数は目標を下回っている。EU加盟国の充電器数は過去3年間で3倍に増え、急速充電器は4.5倍に増加した。ほとんどのEU加盟国で代替燃料インフラ規制(AFIR)が定めた2024年の充電インフラ目標が達成されている。

  欧州委員会は2021年7月、充電インフラ整備を加速させるため、加盟国に設置目標を課すAFIR案を提案し、欧州議会とEU理事会(閣僚理事会)が2023年7月に採択した。

 一方、T&Eの2024年3月の報告によると、欧州で2023年に販売されたEVのうち、小型車の主力であるBセグメントの割合は17%で、内燃機関車(37%)の半分以下にとどまる。T&Eは車種の少なさがEV普及を妨げたとの見方を示している。

  EUは2035年までに域内で内燃エンジン車の新車販売を禁止する方針を定めていたが、2023年に、環境に良い合成燃料(再エネ由来の水素と二酸化炭素から作られる合成燃料e‐Fuel)を使うエンジン車は認めると方針転換した。これはドイツ政府が自国の自動車産業保護のため、合成燃料の利用容認を求めたことが背景にある。ドイツはまた、2023年末にEV補助の早期終了にも踏み切った。EV補助の財源となる気候変動基金の支出削減を余儀なくされたためである。EUを離脱した英国も国民の経済負担に配慮して、ガソリン車やディーゼルエンジン車の新車販売禁止時期を5年間延期し、2035年までにした。

(T&E 5月7日)