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欧州原子力業界、新規事業推進により退職エンジニアの再雇用ブームに?
2024/5/17
その他地域のエネルギー

 原子力業界では、欧米企業が大規模な新規プロジェクトを数十年ぶりに推進する計画で、退職エンジニアや高齢の専門家を大量に再雇用し、人材不足解消に備える動きがある。

 1950年代後半に始まった原子力部門の黄金時代は、1986年のチェルノブイリ原発事故で新規事業が停滞し、経験豊富なエンジニアが大量に退職した。さらに、2011年の東日本大震災による福島第一原発の事故により、原発建設にさらに歯止めがかかった。

  近年は、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー安全保障やガス供給への不安が広がる中、インド、米国、フランス、英国、ポーランドなどで原発の新規受注が計画されている。低炭素技術への世界的な関心の高まりも原発新規事業推進の背景にある。

  56基の原子炉を保有する欧州最大の原発大国・フランスでは、25年ぶりに新設される原子炉が今夏、ノルマンディーのフラマンヴィルで送電網に接続される予定である。フランスは2030年代後半までに、少なくとも6基の原子炉を新設する計画である。

  世界最大の94基の原子炉を保有する米国も次世代の原子力技術開発を進めており、より小型化した原子炉の製造を模索している。同国のエネルギー省は、原子力業界では、2050年までにさらに37万5000人の労働者が必要になると推定している。そのうち2030年までに約5万5000人が必要になるとしている。

  国際エネルギー機関(IEA)によると、世界で建設中の原子炉の3分の2以上がロシアと中国の原子炉だという。

(Financial Times 5月17日)