ロイター（Reuters）の4月14日付報道によると、欧州連合（EU）欧州委員会は同日、ロシア産原油・天然ガスのEU域内輸入を段階的に縮小・廃止するための詳細計画を5月6日に発表すると明らかにした。

　EUは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、2027年までにロシアからの燃料輸入を停止する方針を打ち出していたが、詳細計画（ロードマップ）の公表は延期されてきた。

　複数のEU関係者はロイターに対し、この延期はトランプ大統領が打ち出した関税を巡る不確実性が一因で、今後のEUと米国の通商交渉にエネルギー取引が含まれる可能性があると言及した。

　ロシアからのパイプラインによるEUへのガス供給は2022年以降急減しているが、EUは昨年ロシア産LNGの輸入を増やしており、2024年もガスとLNGの総供給量の19％をロシアから得ている。石油とは異なり、EUはロシア産ガスの輸入に対して制裁を課していない。

　ハンガリーは、EU加盟国による全会一致の承認が必要となるロシアへのエネルギー制裁を阻止すると明言している。また、複数国がEUが代替供給源を確保するまではロシアのLNGに対する制裁を承認する意向がないことを示唆している。

　欧州委員会はこれまで、ロシアからのエネルギー輸入縮小を促進するための手段を明らかにしていない。ブリュッセルに拠点を置くシンクタンクのアナリストは、EUがロシアからの天然ガス輸入に関税を課すことを提案しているという。

　ロシアからのガス供給を完全に停止すれば、EU??は米国を含む供給国からより多くのガスを購入することになる。EUは米国からのLNG購入拡大を検討すると述べており、トランプ大統領は欧州へのエネルギー販売拡大が対EU貿易赤字の解消に向けた政権の取り組みの重点となると述べている。

　ただ欧州の一部企業や外交官からは、トランプ氏がエネルギーを通商交渉の武器にする意向を示唆していることから、米国産ガスへの依存には警戒感も出ている。