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中国
【省エネ・環境】

「重汚染区」と化した工業パーク 87%が環境法規違反 (2007/08/22)
2007/11/19
中国【省エネ・環境】

 国家環境保護総局は最近、11の省・自治区の工業パーク126ヵ所の検査を行ったが、検査対象の87%に当たる110ヵ所が環境法規に違反していることが判明した。中央政府は省エネ・排出削減の決意を固めているが、現地の企業や地方政府が手心を加えている状況では、省エネ・排出削減の命令も画餅に帰している。

 有名無実の「三同時」制度

 河南省濮陽市を例に取ると、同市の濮陽経済開発区の昨年の生産高は22億元超、区の財政収入は32%以上増加した。しかし、長期にわたって産業構造は単一であり、工業汚染問題が突出し、企業は数だけ多いが、レベルが低く、規模が小さい。国家環境保護総局によると、開発区内の企業61社のうち、34社は認可のないまま建設されていた。また、勝手に汚染管理施設を停止する企業や、基準を超過して汚染物を排出する企業、規則に違反して環境評価等級を引き下げる企業もあった。

 建設プロジェクトは「三同時」制度を遵守しなければならない。すなわち、本体工事と同時に環境保護施設の設計、施工、運転を行うことが義務付けられている。しかし、山東省の莘県工業パークでは30件の建設プロジェクトのうち、環境評価の認可手続を経ていないものは19件に上り、蘭州ハイテク産業開発区では24件のうち16件に上った。また、安徽省の環境保護局が調査した結果、全省98ヵ所の工業パークのうち、環境監督管理規範の条件に適合しているものは1つとしてなかった。

 摘発も処罰も恐れない企業

 開発区の企業の多くは環境保護意識が弱い。企業は少しでも早く市場に打って出たいがため、認可のないまま建設を先行することが習慣と化している。また、経費を節約するために環境評価をしぶる企業もあり、場合によっては「知らなかった」と言い逃れる。

 「法に違反するよりも法を守るほうが高くつく」ことは、企業が違法に汚染を排出する重要な原因となっている。企業は制度の抜け穴を知悉している。違法に汚染物を排出する工業パーク内の企業が摘発を恐れていないのは、その多くは現地の地方政府が誘致した企業であり、地方政府は見て見ぬふりをするからである。また、たとえ摘発されても、彼らが受ける罰則は、汚染排出によって得られる利益に比べれば、微々たるものに過ぎないからである。

 短期的な利益に駆られて企業に媚びる地方政府

 工業パークが汚染パークと化したのは、多くの地方政府が短期的利益に駆られて企業の誘致に血眼になったことに主な原因がある。GDP至上主義は地方幹部に根強く浸透し、熾烈な競争の中、高汚染企業、エネルギー多消費企業に対してもゴーサインを出す。場合によっては、地方幹部が現地の環境保護局長に対し、経済発展のため、手心を加えるよう要求することもある。「手心」には環境保護手続の「簡略化」も含まれており、それは企業を誘致するための優遇条件になる。

 例えば、寧夏自治区では、工業パークの重大プロジェクトの申請に対し、指導幹部が完成を急がせるため、環境評価を後回しにして先に建設を進めるように指示するなど、企業を繋ぎ止めるために参入基準を引き下げているが、一方、石嘴市は一部の汚染企業に環境保護施設を建設するよう義務付けたところ、その企業は他の省に移転し、市のGDPは目に見えて低下した。

 全人代環境資源委員会の専門家は、工業パークの産業発展計画と産業政策、環境負担能力などを総合的に計画し、工業パークのプロジェクト実施に当たっては、企業の環境評価よりも区域の環境評価計画を優先しなければならず、将来の発展のために闇雲に企業を誘致して大きな弊害を潜在させるようなことがあってはならないと指摘する。

 環境保護総局の潘岳副局長は、「環境指標を官僚の業績評価制度に組み入れることが汚染問題を解決する主要な措置になる」と指摘する。業績評価の基準を改めるには強力な強制メカニズム、すなわち官僚の環境保護業績評価責任制度が必要となる。

 また、環境評価制度の厳格な実施は、地方や工業パークにとっても、あるいは企業にとっても、産業構造の調整と高度化を進め、経済成長のパターンを転換する契機になるだろう。

 (新華網 8月22日)