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中国
【石油・天然ガス】

油価高騰で吉林省のオイルシェール開発熱が再燃 (08/05/15)
2008/5/16
中国【石油・天然ガス】

 国際原油価格が1バレル120ドルを突破する中、世界的にオイルシェールが再び注目を集めている。オイルシェール埋蔵量の最も豊かな国の1つである中国でも、オイルシェール開発熱が再燃している。中国最大のオイルシェール埋蔵量を誇る吉林省を取材した。

 吉林省のオイルシェール埋蔵量は176.6億トン、全国埋蔵量の56%を占める。吉林省の中で最も埋蔵量が大きいのが樺甸市である。樺甸市のオイルシェールは吉林のみならず全国でも含油率が最も高い。樺甸市のオイルシェール鉱区は総面積80平方キロに及び、総埋蔵量は5億トン、可採埋蔵量は3.2億トンになる。

 最も早い時期に樺甸市のオイルシェール開発に乗り出したのは阜新鉱物局であり、2007年に樺甸市とオイルシェール総合開発協定に調印した。2008年には、遼寧成大も参入して、吉林弘晟偉業能源有限公司を設立した。同公司は資本金3億元、出資比率は遼寧成大が60%、阜新鉱物局が40%になる。樺甸市の計画は、オイルシェールの開発、発電、建材、環境保護も含む総合計画である。

 吉林弘晟偉業能源有限公司の経営は実質的には2007年から始まっている。同年10月には、現地のオイルシェール発電所と3つのオイルシェール坑井を買収したのである。この発電所は90年代中頃に中央政府と吉林省政府が建設を支援したオイルシェールモデル発電所であり、樺甸地区の主要発電・熱供給企業となっている。オイルシェール坑井は、埋蔵量数千万トン、200〜300mの斜坑であり、採掘の大部分は機械化されている。坑井の改造・拡張工事も完了した。今年は120〜150万トンのオイルシェール鉱石を採掘し、来年には300万トン採掘する計画である。

 このプロジェクトでは乾留技術が採用されており、目下乾留製油所の建設が進められている。計画によると、第1期では既存の3つの坑井を利用して、2009年には300万トンのオイルシェール鉱から25万トンのオイルシェールを生産する。吉林弘晟偉業能源は樺甸市と排他的開発協定に調印しているので、2009年以降の第2期、第3期プロジェクトにおいても優勢を占めることになる。

 オイルシェールの経済価値は大きい。オイルシェール鉱を採掘し加熱乾留によって精製する場合、石油価格1バレル35ドルが損益分岐点になる。この技術は採油率が高いので、幅広く採用されている。現在のオイルシェールの価格は4,700元/t以上に高騰しており、しかも供給が需要に追いつかない状態にある。オイルシェールの開発は、莫大な利益をもたらすだけでなく、政府の石油代替戦略にも合致している。

 吉林弘晟偉業能源のオイルシェール開発は、技術や環境面でも何ら問題がない。オイルシェールの開発は石炭の開発に比べても簡単であり、はるかに安全である。また、同公司のプロジェクトは総合開発事業であり、水、ガス、固体廃棄物は総合利用される。排ガスは発電に利用され、廃水は希釈された上で回収される。固体廃棄物は新型建材の原料になる。

 (中国石化新聞網 5月15日)