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中国
【石油・天然ガス】

石油・天然ガス価格統制 当面は解禁の見込みなし 地震の余波 (08/05/22)
2008/5/22
中国【石油・天然ガス】

 21日、国家能源局、発展改革委員会、中国石油天然ガス集団(CNPC)、中国石油化工(SINOPEC)など関係部門による石油・天然ガス価格統制の解除についての討議が最終段階に入り、8月以降に予定されていた石油・天然ガス・化学製品の価格統制解除が、今回の震災により前倒しで6月初めには解除される公算が大きいとの観測が流れた。これを受け、同日午後、石油・化学株は大幅に上昇した。

 しかし、政府筋は同じ日、記者の取材に対し、国内の石油製品の価格統制が解除になる可能性はないと表明した。今は地震災害救助や復興の最も重要な時期に当たるからである。

 同筋によると、石油製品価格の統制を当面は解除することが困難な理由として、次の3つの原因がある。

 第1に、復興にはエネルギーセキュリティが絶対に不可欠であるからである。復興には建設、機械、運輸等の産業の活性化が必要であるが、もし石油製品価格が高すぎる場合、関係企業は後ろ向きになる。

 第2に、石油製品価格の解禁は消費者物価の抑制にとって不利である。被災区の救援が当面の急務であり、全面的なインフレを防止することは経済の安定にとって極めて重要である。

 第3に、中国の石油製品市場は、市場により価格が決定される条件が未だ整っておらず、解禁は時期尚早である。

 また、国家発展改革委員会筋は、石油製品価格は経済の様々な面に波及し、もし国内石油製品価格を完全に国際価格と連動させた場合、インフレは生じないと保証することは出来ないとし、政府は震災後の特殊な時期に、敢えて石油製品価格の解禁に踏み切ることはあり得ないと述べた。

 なお、CNPC専門家諮問センター・専門家委員会の朱秉剛副主任は、石油・天然ガス価格が前倒しで解禁になるという情報は聞いていないと述べ、発展改革委員会にはこれほど大きな事項を決定する権限はなく、最終的には国務院上層部の決定を要すると指摘した。朱秉剛副主任も、消費者物価の上昇と震災救援対策が政府の重点課題になっている状況では、石油製品価格が年内に解禁になる可能性はほとんどないとしている。

 一方、CNPCとSINOPECも、石油・天然ガス価格統制の解除に関する通知を受け取っていないとのことである。

 (上海証券報 5月22日)