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【石油・天然ガス】

【論説】中国とインドの燃料助成政策が油価を押し上げているのか (08/05/25)
2008/5/26
中国【石油・天然ガス】

 【論説】中国とインドの燃料助成政策が油価を押し上げているのか (08/05/25)

 フィナンシャル・タイムズ Lexコラムより

 油価高騰に伴いこれまで燃料助成を拡大してきたアジア各国は、一転して助成規模の縮小を検討しつつある。台湾はガソリン価格を来月より20%引き上げると表明し、インドネシアやマレーシアも同様の措置を検討している。

 需要抑制を効果的なものにするには、アジア最大の石油消費国も同じような方法を取ることが求められる。IEA(国際エネルギー機関)の予測によると、現行の政策を前提にした場合、中国とインドの石油純輸入量は、2030年には現在のほぼ4倍に当たる1日1,930万バレルになり、米国と日本の現在の合計輸入量を上回ることになる。価格を現実的なものするには、理論的には需要を大幅に抑制して油価上昇圧力を軽減することが必要である。

 しかし、一般的な見方とは逆に、国によっては、助成金は、需要を刺激するのではなく、実際には需要を抑制する(少なくとも需要を賄いきれないようにさせている)作用を果たしている。中国では、国有石油企業が市場価格で原油を輸入する一方、定められた価格で石油製品を販売しているが、このことに国有石油企業は不満を抱き、販売量を削減することで対応しているのである。また、インドでは、Reliance Industriesは900軒のサービス・ステーションを閉鎖した。同社は国有石油企業と競争しようとすると、売れば売るほど赤字になるのである。

 助成金撤廃について様々な憶測が流れているが、中国とインドは助成を撤廃する可能性が最も低いグループに入っている。中国の複雑な助成メカニズムはますます深く根を下ろしている。中国の製油企業に対する助成はようやく制度化され、石油企業は毎月助成金を交付されている。そうした政策の理由の1つには、政策決定者がオリンピック開催中の石油製品不足を恐れていることがある。助成金は、絶対額では巨額になる(国際エネルギー価格をもとに見積もると年間430億ドル)が、実際にはGDPの1%に過ぎない。

 もう1つは、エネルギー需要は最貧国においてこそ最も弾性的であることが指摘される。そうした国の総需要が与える影響は相対的に小さい。したがって、アジア各国で生じている助成金の見直しは喜ばしいことであるが、現実には、依然として「桶」の中の一滴でしかない。

 (中国能源網 5月25日)