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中国
【石炭】

石炭価格の上昇と供給の逼迫 小炭鉱の生産再開が急務 (08/06/02)
2008/6/2
中国【石炭】

 石炭の価格高騰と供給の逼迫が進む中、政府は閉鎖した小炭鉱の生産再開を進めている。国家発展改革委員会(NDRC)は国家安全生産監督管理総局や電力監督管理委員会、国家能源局等と合同で、小炭鉱の生産再開完了検査を加速して、安全生産条件に合格した小炭鉱の生産再開を急ぐよう求めている。

 2007年末の時点で、全国の原炭生産量に占める炭鉱別の比率は、国有重点炭鉱49%、国有地方炭鉱13%、郷鎮炭鉱38%であったが、2008年4月の時点でその比率は国有重点炭鉱57.5%、国有地方炭鉱13.1%、郷鎮炭鉱29.4%になり、また、原炭増産量に占める比率では、国有重点炭鉱69.6%、国有地方炭鉱8.2%、郷鎮炭鉱22.2%となった。中国煤炭網の李朝林研究員によると、小炭鉱が主力を占める郷鎮炭鉱の総生産量に占める比率は一直線に低下しており、低下の速度も、低下の幅もかつて見られなかったものである。これら小炭鉱の多くはメンテナンスの名目で生産停止を迫られており、安全条件に合格した小炭鉱が通常生産に復帰しさえすれば、石炭供給逼迫の局面は直ちに緩和できる。

 この2年、中国の石炭産業は大集団化が進められてきた。一部石炭企業の拡大強化を図るため、全国範囲で石炭資源の統廃合策が進められたのである。その結果、多数の小炭鉱は拠って立つべき石炭資源を失った。

 エネルギー専門家である黄騰頗氏は、中小炭鉱は今後中国の石炭供給の重要な支えになるとして、その理由を次のように説く。

 中国には中小炭鉱を諸悪の根源のように扱う傾向があり、中小炭鉱を徹底的に消滅しさえすれば、中国の石炭産業の現代化が実現するかのように言われている。しかし、中国の石炭埋蔵条件から見て、大規模な露天掘りに適した鉱床は少ない。石炭鉱床の絶対多数は埋蔵深度が深く、炭層は複雑に分布している。そのため、石炭採掘に当たっては、地質状況に応じて、様々な採掘方式を採用し、最適な採掘規模を設計することが求められる。天然資源を十分活用して、石炭の生産効率を上げるにはそのようにするしかない。

 大規模開発に適した石炭鉱床は今後、世界的にもますます少なくなる。特に中国のような石炭の埋蔵条件が良好とは言えない国にとっては、中小炭鉱の開発を進めていくことが現実的である。中国の石炭産業は、各地の状況に応じて大型・中型・小型の炭鉱開発を並行して進め、それら各種炭鉱がともに産業の現代化を実現できるようにしなければならない。

 とりわけ、石炭価格が急騰し、そのことが中国経済の発展や国民の生活の安定を脅かしつつある昨今、中小炭鉱の現代化を速やかに実現して、その生産能力の安定と向上を促進することはますます急務となっている。

 (中国経済時報 6月2日)