環境保護部は4日、2007年における中国の環境の現状を発表した。内容は以下の通り。 (1) 主要汚染物排出量である化学的酸素要求量(COD)と二酸化硫黄の排出量がいずれも下がった。脱硫施設を備える石炭火力発電ユニットの比率は2005年の12%から、2007年には48%に上昇した。都市汚水処理率は52%から60%に上昇した。化学的酸素要求量の排出量は1,383.3万トン、前年比3.14%減少した。二酸化硫黄排出量は2,468.1万トン、4.66%減。 (2) 淮河、海河、遼河、松花江、三峡ダム区及び上流、丹江口ダム区及び上流、黄河中上流、滇池、巢湖の流域水質汚染防止規則と太湖流域水環境総合整備全体方案が制定、施行され、負担の大きい河川・湖沼・海の休養整備がスタートした。都市飲用水源保護区の全面調査を行い、飲用水源保護区区分技術規範を公布した。飲用水源一級保護区内の汚水口の取り締まりと閉鎖を行い、二級保護区内の違法行為を摘発した。水質汚染事件の厳格な防止と妥当な処理を行い、飲用水の安全を確保した。 (3) 財政、課税、金融、価格、貿易など多様な経済手段を総合的に運用して環境保護を進めた。電力、鉄鋼、石油化学など13のエネルギー多消費・高汚染業種の建設事業環境参入条件を引き上げ、時代遅れの生産能力を積極的に淘汰した。認可しなかった又は認可を留保した事業は377件、投資額にして1.5兆元に上る。9,000件超の新規着工事業に対する環境保護専門検査を行い、環境評価の要件に適合した1,194件を法に基づき処分した。企業の上場に際しての環境保護審査を厳格化し、2007年は10社の上場に際し、融資申請を却下又は留保した。 (4) 調和的に発展する生態文明の路を歩む上で、新たな模索を行った。開発区移転建設補償、飲用水水源地保護補償を試験的に展開した。重点生態機能区の建設を推進し、生態環境品質評価対策を展開し、「国家重点生態機能保護区計画綱要」を公布した。生態工業パークの設立を試験的に進め、工業パークや工業集中エリアのエコ化を推進して、汚染排出削減に力を入れた。 (5) 第1回全国汚染源調査、環境マクロ戦略研究、水質汚染管理制御科学技術専門プロジェクトの3大基礎戦略的環境保護プロジェクトを順調に進めた。全国の重点工業汚染源3万件と集中汚染管理施設に対する現場監視計測を実施し、大規模な産業汚染排出係数の計量作業を展開した。中国環境マクロ戦略研究の4大課題、専門テーマ29件の研究を全面的に展開し、その一部は実質的な進展を遂げた。 (6) 国際環境協力が大きく進展した。米中間の排出削減共同経済研究、中露の水質環境共同監視計測、日中経済対話における環境保護協力推進などが挙げられる。途上国や周辺国との2国間環境協力交流も広がった。 2007年の全国の環境は以下に述べるように、全体的に安定を維持した。 都市大気環境 全体的に改善が進んだ。地級以上の都市大気品質は国家1級が2.4%、2級が58.1%、3級が36.1%、3級未満は3.4%。顆粒物年間平均濃度では、2級が72.0%、3級未満が2.2%。二酸化硫黄濃度では、2級79.1%、3級未満が1.2%。113の環境保護重点都市の大気品質は、2級が44.2%、3級が54.9%、3級未満0.9%になり、3級未満の都市の比率は前年に比べ6.2ポイント下がった。監視計測対象の500都市(県)の中で酸性雨の発生した都市は56.2%。酸性雨発生頻度が25%以上の都市は171都市で全体の34.2%を占めた。同75%以上の都市は65都市、13.0%。 騒音環境 全体的に好転した。全国の市街区の騒音環境は、72%が良好又は比較的良好となった。環境保護重点市街区域では良好又は比較的良好が75.2%を占めた。全国の58.6%の都市の道路交通騒音環境は良好であり、環境保護重点都市の道路交通騒音環境は良好又は比較的良好が92.9%を占めた。都市の各種機能区の日中の合格率は84.7%、夜間の合格率は64.1%。 環境電磁波 全体的に良好。核施設、ウラン精錬施設、使用済み核燃料処理施設や燃料生産精製企業の周囲では計測可能なレベルの汚染は発生していない。電磁波放射レベルは国家基準に適合しているが、一部の環境汚染には潜在的なリスクがある。 固体廃棄物 やや減少した。全国の工業固体廃棄物発生量は17億5,767万トン、前年比16%増。排出量は1,197万トン、前年比8.1%減。総合利用量は62.8%、貯蔵量は13.7%、処理量は23.5%。危険廃棄物の発生量は1,079万トン、総合利用量は650万トン、貯蔵量は154万トン、処理量は346万トン。 自然保護区 着実に進展している。全国で新たに19の国家自然保護区が建設された。現在、全国に2,531の自然保護区があり、面積1億5,188万ヘクタールに上る。うち、国家自然保護区は303ヵ所、9,356.6万ヘクタール。 環境保護部によると、2007年に全国の環境状況は全体的に好転傾向を示したものの、環境保護情勢は依然深刻であり、そのことは特に次のような面で顕著である。 水質汚染 汚染状況は依然深刻である。長江、黄河、珠江、松花江、淮河、海河、遼河の7大水系の総合水質は昨年と同レベル。珠江、長江は良好、松花江は軽度汚染、黄河、淮河は中度汚染、遼河、海河は重度汚染。湖沼の富栄養化の問題は際立っている。また、全国近海海域の海水水質の第1種と第2種の比率は前年よりも4.9ポイント低い62.8%となった。第3種は3.8ポイント高い11.8%。第4種及び第4種未満は1.1ポイント高い25.4%。4大近海海域のうち、南シナ海、黄海の水質は良、渤海は軽度汚染、東シナ海は重度汚染。 農村環境保護状況 状況は依然厳しい。農村は環境汚染と生態破壊の二重の脅威に直面している。特に生活汚染が激化し、広域汚染が深刻化している。また、鉱工業の汚染が顕著であり、飲用水には潜在的なリスクがある。生態の退化は有効に抑制することが未だに出来ていない。 (環境保護部ウェブサイト 6月4日)
環境保護部は4日、2007年における中国の環境の現状を発表した。内容は以下の通り。
(1) 主要汚染物排出量である化学的酸素要求量(COD)と二酸化硫黄の排出量がいずれも下がった。脱硫施設を備える石炭火力発電ユニットの比率は2005年の12%から、2007年には48%に上昇した。都市汚水処理率は52%から60%に上昇した。化学的酸素要求量の排出量は1,383.3万トン、前年比3.14%減少した。二酸化硫黄排出量は2,468.1万トン、4.66%減。
(2) 淮河、海河、遼河、松花江、三峡ダム区及び上流、丹江口ダム区及び上流、黄河中上流、滇池、巢湖の流域水質汚染防止規則と太湖流域水環境総合整備全体方案が制定、施行され、負担の大きい河川・湖沼・海の休養整備がスタートした。都市飲用水源保護区の全面調査を行い、飲用水源保護区区分技術規範を公布した。飲用水源一級保護区内の汚水口の取り締まりと閉鎖を行い、二級保護区内の違法行為を摘発した。水質汚染事件の厳格な防止と妥当な処理を行い、飲用水の安全を確保した。
(3) 財政、課税、金融、価格、貿易など多様な経済手段を総合的に運用して環境保護を進めた。電力、鉄鋼、石油化学など13のエネルギー多消費・高汚染業種の建設事業環境参入条件を引き上げ、時代遅れの生産能力を積極的に淘汰した。認可しなかった又は認可を留保した事業は377件、投資額にして1.5兆元に上る。9,000件超の新規着工事業に対する環境保護専門検査を行い、環境評価の要件に適合した1,194件を法に基づき処分した。企業の上場に際しての環境保護審査を厳格化し、2007年は10社の上場に際し、融資申請を却下又は留保した。
(4) 調和的に発展する生態文明の路を歩む上で、新たな模索を行った。開発区移転建設補償、飲用水水源地保護補償を試験的に展開した。重点生態機能区の建設を推進し、生態環境品質評価対策を展開し、「国家重点生態機能保護区計画綱要」を公布した。生態工業パークの設立を試験的に進め、工業パークや工業集中エリアのエコ化を推進して、汚染排出削減に力を入れた。
(5) 第1回全国汚染源調査、環境マクロ戦略研究、水質汚染管理制御科学技術専門プロジェクトの3大基礎戦略的環境保護プロジェクトを順調に進めた。全国の重点工業汚染源3万件と集中汚染管理施設に対する現場監視計測を実施し、大規模な産業汚染排出係数の計量作業を展開した。中国環境マクロ戦略研究の4大課題、専門テーマ29件の研究を全面的に展開し、その一部は実質的な進展を遂げた。
(6) 国際環境協力が大きく進展した。米中間の排出削減共同経済研究、中露の水質環境共同監視計測、日中経済対話における環境保護協力推進などが挙げられる。途上国や周辺国との2国間環境協力交流も広がった。
2007年の全国の環境は以下に述べるように、全体的に安定を維持した。
都市大気環境
全体的に改善が進んだ。地級以上の都市大気品質は国家1級が2.4%、2級が58.1%、3級が36.1%、3級未満は3.4%。顆粒物年間平均濃度では、2級が72.0%、3級未満が2.2%。二酸化硫黄濃度では、2級79.1%、3級未満が1.2%。113の環境保護重点都市の大気品質は、2級が44.2%、3級が54.9%、3級未満0.9%になり、3級未満の都市の比率は前年に比べ6.2ポイント下がった。監視計測対象の500都市(県)の中で酸性雨の発生した都市は56.2%。酸性雨発生頻度が25%以上の都市は171都市で全体の34.2%を占めた。同75%以上の都市は65都市、13.0%。
騒音環境
全体的に好転した。全国の市街区の騒音環境は、72%が良好又は比較的良好となった。環境保護重点市街区域では良好又は比較的良好が75.2%を占めた。全国の58.6%の都市の道路交通騒音環境は良好であり、環境保護重点都市の道路交通騒音環境は良好又は比較的良好が92.9%を占めた。都市の各種機能区の日中の合格率は84.7%、夜間の合格率は64.1%。
環境電磁波
全体的に良好。核施設、ウラン精錬施設、使用済み核燃料処理施設や燃料生産精製企業の周囲では計測可能なレベルの汚染は発生していない。電磁波放射レベルは国家基準に適合しているが、一部の環境汚染には潜在的なリスクがある。
固体廃棄物
やや減少した。全国の工業固体廃棄物発生量は17億5,767万トン、前年比16%増。排出量は1,197万トン、前年比8.1%減。総合利用量は62.8%、貯蔵量は13.7%、処理量は23.5%。危険廃棄物の発生量は1,079万トン、総合利用量は650万トン、貯蔵量は154万トン、処理量は346万トン。
自然保護区
着実に進展している。全国で新たに19の国家自然保護区が建設された。現在、全国に2,531の自然保護区があり、面積1億5,188万ヘクタールに上る。うち、国家自然保護区は303ヵ所、9,356.6万ヘクタール。
環境保護部によると、2007年に全国の環境状況は全体的に好転傾向を示したものの、環境保護情勢は依然深刻であり、そのことは特に次のような面で顕著である。
水質汚染
汚染状況は依然深刻である。長江、黄河、珠江、松花江、淮河、海河、遼河の7大水系の総合水質は昨年と同レベル。珠江、長江は良好、松花江は軽度汚染、黄河、淮河は中度汚染、遼河、海河は重度汚染。湖沼の富栄養化の問題は際立っている。また、全国近海海域の海水水質の第1種と第2種の比率は前年よりも4.9ポイント低い62.8%となった。第3種は3.8ポイント高い11.8%。第4種及び第4種未満は1.1ポイント高い25.4%。4大近海海域のうち、南シナ海、黄海の水質は良、渤海は軽度汚染、東シナ海は重度汚染。
農村環境保護状況
状況は依然厳しい。農村は環境汚染と生態破壊の二重の脅威に直面している。特に生活汚染が激化し、広域汚染が深刻化している。また、鉱工業の汚染が顕著であり、飲用水には潜在的なリスクがある。生態の退化は有効に抑制することが未だに出来ていない。
(環境保護部ウェブサイト 6月4日)