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中国
【石炭】

ベトナムの対中石炭輸出に大きな変化 (08/06/10)
2008/6/13
中国【石炭】

 5月期のベトナムのインフレ率は25.2%に達したが、その背景には、貿易赤字と財政赤字の拡大、過大な外債規模、ベトナムドンの下落や国際資本の逃避があるが、こうした危機はベトナムの石炭輸出にも大きな影響を及ぼしている。

 決済通貨の変化

 最も顕著な変化は、ベトナムが対中石炭輸出価格を中国国内の石炭価格に連動させ、大部分を人民元で決済する動きを示していることである。広西自治区とベトナムとの貿易の多くは、石炭も含め、米ドルと人民元の2種類の通貨で決済されているが、現在、人民元決済の比率がますます大きくなっている。

 輸出状況の変化

 ベトナムは中国にとって最大の石炭輸入先であり、また、ベトナムの石炭輸出においても対中国が8割を占めている。広西自治区南寧税関の統計によると、2007年の広西自治区の石炭輸入は1,404万トン、うちベトナムからの輸入は1,333万トンに上り、40.7%を占めた。また、広東省の2007年の石炭輸入は1,456.1万トン、うちベトナムからの輸入は3分の1強であった。広西と広東は、中国のベトナムからの石炭輸入のうち8割以上を占める。

 しかし、ベトナムが石炭輸出枠を縮小したため、需給双方のバランスが崩れ、価格は毎日のように変化している。

 今年1〜4月の中国の石炭輸入は1,466万トン、9.4億ドル、数量、金額とも23.7%減少し、同時期のベトナムからの輸入量は前年同期比10%減の769万トンに低下した。

 但し、東方証券の石炭産業首席アナリストの分析によると、当面のベトナムの対中輸出の減速にも変化が生じるだろう。ベトナムドンの急速な下落や短期的な資本市場の悲観的な見通しで、ベトナムには外資の逃避が発生しており、一部企業は減産措置を取っている。このため、全体的に電力や石油製品等の需要が落ち、ベトナム国内の石炭供給不足も緩和されることになる。

 国境石炭貿易政策の変化

 ベトナムは6月1日から、中越国境石炭貿易を一方的に停止した。

 ベトナムのトップクラスの石炭企業であるVinacominもまた、ベトナム北部のクアンニン省Van Gia港の国境石炭貿易を停止し、中国への石炭輸出を許可されているのは同社傘下のCoalimex-TKVだけになったと表明した。

 広西自治区対外経済貿易庁国境貿易課の説明によると、ベトナム側はこれまでの国境貿易を正規貿易に転換しようしている。これまで分散し、供給量の保証もなかった国境石炭貿易を、供給量が保証される長期契約の正規貿易に転換しようとしているのである。しかし、広西側は未だ国境貿易を廃止しておらず、ベトナムは優遇措置が適用される国境貿易の形式で広西に輸出することが出来る、と国境貿易課は指摘する。

 また、ベトナム貿易関係者によると、ベトナムは国境貿易政策の転換だけでなく、輸出枠の調整も検討している。

 (21世紀経済報道 6月10日)