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【論説】露天然ガス価格の暴騰と中国への影響 (08/06/12)
2008/6/13
中国【石油・天然ガス】

 ロシア天然ガス価格の暴騰と中国への影響
 中国証券網 阮暁琴

 ロシアの欧州向け天然ガス価格は410$/千m3に 年内にさらに高騰も

 ロシアの天然ガス会社ガスプロムのミレル社長は10日、ロシアの欧州向け天然ガス価格が410$/千m3に達したことを明らかにした。

 ミレルは、天然ガス価格高騰の原因は欧米の推進しているエネルギー供給の多元化にあるとし、例えば、米国やEUが外交努力を通じて中央アジアの資源を獲得しようとしたことが、同地区における資源獲得競争を激化させ、その結果、欧州が新たな天然ガスを獲得できないばかりか、価格の急騰という結果を招いたと指摘した。

 ミレルは、ロシアの欧州向け天然ガス価格は今年末に500$/千m3に達する可能性もあるとし、また、今後2〜3年以内に原油が1バレル250ドルになる可能性もあるとの見方を示した。

 中露天然ガス交渉は難航

 ロシアから中国への天然ガス輸出は未だ始まっておらず、EUに対するロシア天然ガス価格の上昇も中国の天然ガス価格に直接影響することはない。しかし、現在進められている中露天然ガス交渉への影響は避けられない。

 中国は2003年頃より、経済成長に伴うエネルギー不足を解決するため、ロシアからの天然ガス輸入を策するようになった。2006年3月、ガスプロムと中国石油天然ガス集団(CNPC)はMOU(了解覚書)に調印し、ロシアから中国への天然ガス供給の時期、数量やルート(東ルートと西ルート)、価格決定方式で基本合意を見たが、しかし、その後の価格交渉において、双方の合意は成立しなかった。中国側が炭層ガス価格を基準として価格交渉を進めようとしたのに対し、ロシア側は欧州向け天然ガス輸出価格に準じることを求めたからである。天然ガス価格の近年の大幅な高騰によって、中露天然ガス価格交渉はますます難しくなってきた。高騰する天然ガス国際価格と中国の受け入れ可能な価格は大きく乖離している。

 中国の天然ガス価格への間接的影響

 ロシアの天然ガス価格高騰は中国に直接の影響を与えないものの、天然ガス国際価格の上昇による中国の天然ガス価格への間接的影響は大きい。

 中国の天然ガス価格は公定価格が適用されている。2005年12月、国家発展改革委員会(NDRC)は新しい天然ガス価格決定制度を制定した。この制度によると、天然ガス基準出荷価格は毎年1回調整し、その調整係数は原油40%、LPG20%及び石炭価格20%の割合でその5年間の加重移動平均をもとに確定するが、連続する年度の価格の調整幅は8%を超えないものとする。

 つまり、中国国内の天然ガス価格は、原油や天然ガスの国際価格高騰による影響を余り受けないような仕組みになっている。しかし、ここ数年の国際価格の上昇幅があまりにも大きいため、国内の天然ガス価格の上昇圧力も絶えず強まっている。例えば、鄭州の天然ガス価格は2007年だけでも30%上昇したとのことである。

 2000年から2020年にかけて中国の天然ガス需要の年間増加率は10.8%になるとの予測もあるが、天然ガス生産量の年間増加率はわずか7.5%に過ぎず、不足は年々拡大することになる。2010年の中国の天然ガス需要は1,100億m3になるが、国内の天然ガス生産能力は900億m3で、不足分は200億m3になる。さらに、2020年には、需要は2,000億m3、生産量は1,100億m3になり、不足は900億m3、対外依存度は45%を超える。つまり、中国の天然ガスの対外依存度は原油の依存度と同じ程度になり、そうなれば、ロシアの天然ガス価格がの中国に及ぼす影響も、国際石油価格が中国に及ぼす影響と同等のものになろう。

 (中国証券網 6月12日)