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中国
【石油・天然ガス】

シノペックが豪油田を5.61億ドルで買収 (08/06/19)
2008/6/19
中国【石油・天然ガス】

 中国石油化工集団(SINOPEC)は、オーストラリアの石油会社AED Oil Ltd.からチモール海Puffin油田の権益の60%を買収することになった。買収の対象となるのは、すでに操業を開始しているPuffin油田とTalbot油田のAC/P22、AC/L6及びAC/RL 1鉱区。同油田の経営権は中石化国際石油勘探開発有限公司(SIPC) が継承することになる。SIPCはSINOPECの全額出資子会社であり、SINOPECの海外における上流、下流の投資と経営に携わる唯一の専門公司である。SIPCの海外における石油・天然ガス探査開発事業は、アフリカ、中央アジア、中東、ロシア、米州、南アジア・太平洋の20余りの国に及んでおり、SIPCが経営または参加している探査投資事業は40件に上る。SIPCの幹部は、今回の買収によって同社のオーストラリアにおける探査と生産の業務が拡大すると表明している。

 AED Oil Ltd.はPuffin油田プロジェクトのフェーズ1に1.6億ドルを投じたが、同油田の油井Puffin-7とPuffin-8の石油生産量が当初期待されていた日量3万バレルを下回ったため、AED Oil Ltd.の運転資金に困難が生じ、株価も大幅に下落した。そのため、同社は債務を償還するため、一部資産の売却を余儀なくされた。

 Puffin油田から産出する原油の供給先については、昨年6月、AED Oil Ltd.はフランスのトタルと売買契約を結んで、同油田の原油を販売している。SINOPECが株式の60%取得後に、Puffin油田の原油を中国国内の製油所に供給するのか、それとも直接販売するのかについては、SINOPEC筋はコストや輸送費等を試算した上で決定するとしている。

 国際原油価格が高騰し、80ドルというSINOPECの製油コストラインを大幅に上回る140ドルに達している状況にあっては、下流の製油化学を本業とし、所要の原油の80%を外からの調達に依存しているSINOPECにとって、海外の石油資源を模索することは死活問題である。

 SINOPECは2006年8月にロシアの石油最大手ロスネフチと共同でウドムルトネフチ(UDMプロジェクト)の株式を37.2億ドルで買収した(SINOPECの持ち株比率は49%)。UDM油田の原始埋蔵量は12.87億トン、残存可採埋蔵量は2.06億トンに上り、2006年の生産量は597万トンであった。しかし、その後、SINOPECの海外における上流資産買収は振るわない。

 今回の買収は大きな規模ではないものの、SINOPECにとっては、石油・天然ガス資源の豊かなオーストラリアに進出する足がかりになる。実際、中国の石油3大手はいずれもオーストラリアと石油・天然ガス資源の分野で協力を進めている。昨年9月、中国石油天然ガス集団(CNPC)とWoodside EnergyはLNG売買契約に調印した。Woodside Energyは2013〜2015年から15年間、CNPCに年間200万トンのLNGを供給することになり、供給量を増やすことも検討する。また、中国海洋石油(CNOOC)の広東LNGターミナルは、オーストラリアの西北大陸棚天然ガス事業との間で25年間の長期契約を結んでいる。

 (中国証券報 6月19日)