米国のアナポリスで2日間にわたって行われた 第4回米中戦略経済対話は18日、閉幕した。今回の対話は米国の次期大統領候補指名争いに重なったことから、対話の成果と今後の対話の仕組みについて大きな関心が寄せられた。 今回の対話では、米中両国はいずれも自由貿易と投資の利便化の原則堅持を強調して、投資環境の改善に努力するとし、米中二国間投資保護協定交渉を開始することで合意した。また、双方は、サブプライム危機、国際金融市場の変動、世界の食糧セキュリティなど両国経済が直面する重大問題について徹底した討議を行い、財政政策、通貨政策などマクロ経済政策と公共投資との疎通と協調を強化することで合意し、経済のグローバル化をめぐる課題に共同で対応することにした。また、知的財産権問題については、米中間で作業部会を設けて指導意見を形作ることにした。第5回の経済対話については、今年12月に北京で開催することで合意した。 今回の対話で最も大きい成果は、今後10年間のエネルギー・環境における枠組み協力についての共同文書が調印されたことである。高騰を続ける国際エネルギー価格、ますます突出する地球環境や気候変動問題をめぐって、同文書は、今後の米中経済協力は重大な影響力を持ち、世界の持続可能な発展に寄与するとした。米中戦略経済対話の重要な意義と戦略的影響を誇示した形である。 成果の大きかった今回の経済対話であるが、米国国内にはこれまでの対話も含めて、悲観的な見方や批判の声が一貫して存在している。こうした声が、大統領交代後の米国新政権の対話の仕組みに対する態度に影響する可能性もある。 米国の少数の保護貿易主義者や政治的意図を有する政客は、これまでの米中経済対話の成果は満足できるものではないとしている。しかし、実際には、2006年から開始された対話は大きな成果を上げている。両国は、金融市場の開放、投資の利便化、知的財産権の保護、エネルギーと環境分野における協力、気候変動、製品の品質向上、食品の安全など幅広い分野で共通認識に達し、様々な協定に調印し、実務的な協力を推進してきた。米国側が最大の関心を寄せる人民元為替レートや貿易赤字問題についても、中国は著しい努力を重ねてきた。人民元の米ドルに対する上昇率は20%を超え、中国側は今も人民元為替制度改革をさらに推進しつつある。2007年の米中間の貿易総額は3,020.8億ドルに達し、中国は米国にとって第3位の輸出相手国になった。今年に入ってからも米国の対中輸出の伸びは20%以上に上り、中国は米国にとって最も急速に伸びている輸出市場になっているが、一方、中国の対米輸出の伸びは10%以下に落ちている。 こうした眼に見える成果の他にも、経済対話は、両国の経済貿易関係の健全な発展を促進しており、貿易摩擦の政治化を防止し、貿易を阻害する経済以外の要因を除去する上でもかけがえのない役割を発揮している。つまり、経済対話は、両国関係の全体的な安定を維持し、相互の戦略的信頼を増進するために重要な貢献を果たしているのである。 このように、中国側は戦略的見地から、経済対話を通じて、両国の経済貿易関係のみならず、経済を超越する全体的な関係の安定を図ってきたが、一方、米国側の一部人士は実用主義の見地から、対話を通じて中国の経済政策を転換するよう企図し、特に対中貿易赤字、人民元為替レート、知的財産権保護、市場開放等の面で絶えず中国側の譲歩を引き出そうとしている。しかし、経済貿易関係は一種のウィン・ウィンの関係であり、米側が中国に対して希望を有するように、中国側にも自国の利益があり、完全に米国側の希望に従って事を進めるわけには行かない。米国側の不適切な要望が実現しないことも当たり前のことに過ぎない。 世界最大の発展途上国である中国と世界最大の先進国である米国の経済は大きな相互補完性を備えており、協力拡大の余地はまだまだ大きい。戦略経済対話を叩き台として、機敏にかつ忍耐強く意思の疎通を図り、両国間で発生する矛盾と問題を絶えず解決して、両国の経済貿易関係発展の長期安定的な枠組みを構築することは、両国の根本的利益に合致しているのである。 今回の対話においても、王岐山副首相は、戦略経済対話を継続することは両国の自民に実益をもたらすと述べて、対話の仕組みの長期化と制度化の希望を表明した。米国の有識者も同様の希望を抱いている。対話の仕組みを継続することは依然必要であるだけでなく、両国の経済貿易関係の深化に伴って、ますますその重要性が顕著になっている。 (新華網 6月24日) 注…この記事は中国の一般的又は個別的見解を紹介したものであり、当研究所の見解を代表するものではありません。
米国のアナポリスで2日間にわたって行われた 第4回米中戦略経済対話は18日、閉幕した。今回の対話は米国の次期大統領候補指名争いに重なったことから、対話の成果と今後の対話の仕組みについて大きな関心が寄せられた。
今回の対話では、米中両国はいずれも自由貿易と投資の利便化の原則堅持を強調して、投資環境の改善に努力するとし、米中二国間投資保護協定交渉を開始することで合意した。また、双方は、サブプライム危機、国際金融市場の変動、世界の食糧セキュリティなど両国経済が直面する重大問題について徹底した討議を行い、財政政策、通貨政策などマクロ経済政策と公共投資との疎通と協調を強化することで合意し、経済のグローバル化をめぐる課題に共同で対応することにした。また、知的財産権問題については、米中間で作業部会を設けて指導意見を形作ることにした。第5回の経済対話については、今年12月に北京で開催することで合意した。
今回の対話で最も大きい成果は、今後10年間のエネルギー・環境における枠組み協力についての共同文書が調印されたことである。高騰を続ける国際エネルギー価格、ますます突出する地球環境や気候変動問題をめぐって、同文書は、今後の米中経済協力は重大な影響力を持ち、世界の持続可能な発展に寄与するとした。米中戦略経済対話の重要な意義と戦略的影響を誇示した形である。
成果の大きかった今回の経済対話であるが、米国国内にはこれまでの対話も含めて、悲観的な見方や批判の声が一貫して存在している。こうした声が、大統領交代後の米国新政権の対話の仕組みに対する態度に影響する可能性もある。
米国の少数の保護貿易主義者や政治的意図を有する政客は、これまでの米中経済対話の成果は満足できるものではないとしている。しかし、実際には、2006年から開始された対話は大きな成果を上げている。両国は、金融市場の開放、投資の利便化、知的財産権の保護、エネルギーと環境分野における協力、気候変動、製品の品質向上、食品の安全など幅広い分野で共通認識に達し、様々な協定に調印し、実務的な協力を推進してきた。米国側が最大の関心を寄せる人民元為替レートや貿易赤字問題についても、中国は著しい努力を重ねてきた。人民元の米ドルに対する上昇率は20%を超え、中国側は今も人民元為替制度改革をさらに推進しつつある。2007年の米中間の貿易総額は3,020.8億ドルに達し、中国は米国にとって第3位の輸出相手国になった。今年に入ってからも米国の対中輸出の伸びは20%以上に上り、中国は米国にとって最も急速に伸びている輸出市場になっているが、一方、中国の対米輸出の伸びは10%以下に落ちている。
こうした眼に見える成果の他にも、経済対話は、両国の経済貿易関係の健全な発展を促進しており、貿易摩擦の政治化を防止し、貿易を阻害する経済以外の要因を除去する上でもかけがえのない役割を発揮している。つまり、経済対話は、両国関係の全体的な安定を維持し、相互の戦略的信頼を増進するために重要な貢献を果たしているのである。
このように、中国側は戦略的見地から、経済対話を通じて、両国の経済貿易関係のみならず、経済を超越する全体的な関係の安定を図ってきたが、一方、米国側の一部人士は実用主義の見地から、対話を通じて中国の経済政策を転換するよう企図し、特に対中貿易赤字、人民元為替レート、知的財産権保護、市場開放等の面で絶えず中国側の譲歩を引き出そうとしている。しかし、経済貿易関係は一種のウィン・ウィンの関係であり、米側が中国に対して希望を有するように、中国側にも自国の利益があり、完全に米国側の希望に従って事を進めるわけには行かない。米国側の不適切な要望が実現しないことも当たり前のことに過ぎない。
世界最大の発展途上国である中国と世界最大の先進国である米国の経済は大きな相互補完性を備えており、協力拡大の余地はまだまだ大きい。戦略経済対話を叩き台として、機敏にかつ忍耐強く意思の疎通を図り、両国間で発生する矛盾と問題を絶えず解決して、両国の経済貿易関係発展の長期安定的な枠組みを構築することは、両国の根本的利益に合致しているのである。
今回の対話においても、王岐山副首相は、戦略経済対話を継続することは両国の自民に実益をもたらすと述べて、対話の仕組みの長期化と制度化の希望を表明した。米国の有識者も同様の希望を抱いている。対話の仕組みを継続することは依然必要であるだけでなく、両国の経済貿易関係の深化に伴って、ますますその重要性が顕著になっている。
(新華網 6月24日)
注…この記事は中国の一般的又は個別的見解を紹介したものであり、当研究所の見解を代表するものではありません。