建設部の制定した「都市用DME業界基準」が国家基準に格上げされ、来年から推進される民生用DMEの使用が規範化されることになった。この基準は、DMEを20％の割合で液化ガスや天然ガス、石炭ガスに混合して使用する際の基準を定めたもの。これまでDMEを民生分野で幅広く利用することは、DME工業基準によって制約されていたが、今後はDMEの使用がより一層便利になり、普及が進むだろう。

　DMEは代替エネルギーとしてますます優越性を発揮するようになっている。石炭や天然ガスを原料とし、独自の研究開発と技術導入を結びつけて、DMEの大量生産を進めることは、エネルギー問題を解決する上で中国の国情に適した新たな方法になる。

　DMEは民生用燃料として石炭ガスや液化石油ガスに代替することができ、経済的にも優れている。国内の液化石油ガスの出荷価格は1トン当たり5,000元であるが、DMEは3,300元でしかない。

また、DMEは軽油の代わりに自動車の燃料として利用することもでき、エンジンの出力を10〜15％高め、騒音を5〜10デシベル下げることができる。DMEはクリーン・エネルギーの一種であり、ユーロ３にも適合する。民生用及び自動車用燃料としてのDME市場は有望であり、DMEが軽油の5％に取って代わると仮定すると、2010年にDMEの需要は674万トンに達する。

　神華煤製油公司の岳国総経理の説明によると、中国ではすでにDMEの大量生産を実現する総合技術を掌握しており、世界の先進レベルに達する独自の知的財産権を有している。DMEプラントはますます大型化が進んでおり、将来的には10万トンクラスからさらに100万トンクラスへと発展するだろう。

　しかし、DMEの大量生産を実現するには、次の3つの課題を克服することが必要である。

　(1) コスト

DMEの生産コストはメタノール価格の変動に伴って変化する。メタノールの市場価格は変動幅が大きく、目下1トン当たり1,000元から2,000元余りの間を推移している。DME価格がメタノール価格に応じて変動することになれば、民生用燃料としての魅力が大幅に下がることになる。現在使用されている液化石油ガスの発熱量と比較した場合、DMEのコストは1トン当たり3,000元が上限になるだろう。

　(2) 技術
　
　高効率で低廉な石炭ガス製造の技術及び設備、DMEの大量生産に用いる反応器、石炭を原料とするDME生産工程における二酸化炭素の利用、触媒剤の開発と生産、経済的なDMEの分離及び抽出技術など、解決を要する課題がいくつかある。

　(3) 基準
　
　DME工業基準は制定されたものの、民生用及び自動車用DMEの国家基準制定を急ぐ必要がある。また、投資、課税面でも、新エネルギーとしてのDMEの健全な発展をサポートしなければならない。