新たな代替エネルギーとして注目されているDMEをめぐっては、産業政策や業界基準の欠如によって、自動車や民生用ガスとしての普及に壁が立ちはだかっている。

　DMEの生産能力はすでに100万トンに達しているが、DME自動車の試験運行がされているのは上海や山東省臨沂だけであり、DME試験車は全国で1,000台にもならない。DME自動車の普及が遅々として進まないのには次のような理由がある。

　第1に、政府は未だにDME自動車基準を打ち出していない。DME自動車は実験用の改装車だけであり、市場での販売は出来ない。また、ナンバープレートは交付されておらず、一般道路を走っていない。昨年6月、久泰能源集団は上海で2台のDME市バスの試験運行を行ない、その後、バス会社はDMEバスの使用を増やすため、ナンバープレートを申請したが、交通警察部門はこれを拒否した。久泰能源集団は北京の市バス会社とも試験運行を進めようとしているが、上海のこの一件のため、難航している。

　第2に、自動車をDME用に改装することは技術的に簡単であるが、DMEを自動車用燃料として使用するには、自動車の改造に止まらず、給油ステーションの建設や環境保護政策からの支援などシステマチックなプロジェクトを要する。産業化に対する政府からの支援なくして、自動車燃料としてのDMEの急速な普及や健全な発展は不可能である。

　一方、民生用ガスとしてのDMEの普及についても次のような制約要因がある。

　第1に、政府は液化ガスに対するDMEの混合比率や操作マニュアルを明確に規定していない。

　第2に、DMEには一般の補給施設がなく、入手するにはメーカーで補給するしかないため、非常に不便である。

　第3に、DMEには専用の輸送車がないため、一般にLPGタンク車を代用しているが、混載は禁止されている。また、DME専用のボンベもなく、LPG用ボンベにDMEを入れることは禁止されている。

　（中国石油新聞中心 7月3日）