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中国
【石炭】

中国の石炭輸出入バランスが失調 2008年は再び石炭純輸入国へ (08/07/30)
2008/7/30
中国【石炭】

 2008年度に中国が石炭純輸入国に転じる可能性は極めて高い。

 この10年、中国は一貫して石炭純輸出国であり、2003年に輸出量は8,298万トンのピークに達したが、その後、輸出量の低下が進む一方で、石炭輸入が急速に拡大したため、石炭純輸出量は急減した。2007年は、輸出量がわずか5,317万トンに止まったのに対し、輸入量は5,102万トンに上り、かろうじて215万トンの純輸出に止まった。中国の石炭輸出入は平衡状態にある。

 特に注目すべきは2007年第1四半期に中国が石炭純輸入国に転じたことであり、同期の純輸入量は289万トンに上った。今年に入ってからも第1四半期に再び106万トンの純輸入となった。1〜5月も依然として純輸入状態にあり、累計30万トンの純輸入になる。

 今年上半期は中国で自然災害が頻発して、発電用石炭の供給がタイトになり、石炭価格も高騰した。一般炭需給のタイト化は5月に沿海地区から始まり、6月に入ると、発電用石炭が危機に瀕するようになった。中国が未曾有の電力危機に直面していることは、もとより石炭の逼迫と密接不可分の関係にある。その上、夏季の電力使用のピークを迎え、石炭需要が著しく拡大しているため、2008年度に中国が石炭純輸入国に転じる公算が極めて大きくなっている。

 重化学工業の発展に伴って、中国のエネルギー消費は近年急激に増加しており、エネルギー消費の中で石炭はほぼ70%を占める。中国は重工業化の時代に入ったばかりであり、石炭需要は引き続き拡大する見込みであるが、石炭の生産と供給は輸送力の制約を受けるため急速に拡大させることは難しい。そのため、中国の石炭輸出入のバランスが崩れ、輸出が大幅に減少する一方で、輸入が増えているのである。

 もし中国が石炭純輸入国に転じることになれば、政府は小炭鉱に対する統制や安全操業を確保する上で、難しい選択を迫られることになる。なぜなら、石炭輸出大国である中国の石炭輸入によって、国内石炭価格の引き下げが進まないばかりか、石炭価格の持続的高騰を後押しすることになるからである。

 (瞭望新聞週刊 7月30日)