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中国
【石炭】

【論説】中国石炭に対する国際投機に警戒せよ (08/07/31)
2008/7/31
中国【石炭】

 ここ2週間、国際石油価格が下落を続けている。米国下院による石油先物市場投機規制法案の努力も石油先物取引熱に冷や水をかけている。問題は国際投機筋が次に何をターゲットにするかである。

 クレディスイスとメリルリンチは先日相次いで予測を発表したが、彼ら投資銀行は、原油価格に段階的な反落が生じてからというもの、あらゆる商品取引の中で石炭が最も堅調であると見ている。アジアの基準になるAPI-4石炭の1年長期契約価格は124%近くの上昇を示しており、7月21日には取引価格が153$/tとなった。今後3ヵ月で250$/tに跳ね上がる可能性もある。そして、中国の電力不足こそがその主な推進力になると見なされている。

 中国の石炭年産量は約23億トン、世界最大であり、現在の開発ペースだと可採年数は約100年になる。自給にはほとんど問題はない。しかし、この数年、中国の石炭輸入は拡大、2007年第1四半期には初めて石炭純輸入国となってアジアの石炭需給構造に極めて大きな変化をもたらし、そのことは国際投機筋に格好の話題を提供した。

 詳細に分析すると、アジアの石炭の需要と価格を急激に押し上げる要因として、次の3つの点が指摘される。

 第1に、国際原油価格が2002年の1バレル30ドル足らずから現在130ドルに上昇し、石炭がある程度原油の代替品になるため、世界の石炭消費量が急増している。とりわけ新興市場の伸びは著しい。BPの2008年世界エネルギー統計によると、石炭はこの5年間で最も需要の増加ペースが速いエネルギーとなっている。2007年の世界の石炭消費量は4.5%増えたが、その半分は中国の消費である。

 第2に、中国では長きにわたって石炭と電力の逆ざやが存在している。すなわち、石炭の取引は基本的に市場価格によって進められるのに対し、電力価格は厳重な統制を受け、このため、西部の石炭生産省は地元で石炭を電力に転換するインセンティブに欠け、一方、東部の省は石炭をはるか遠くから調達して発電を行なわざるを得ない。しかし、輸送能力がネックになるため、西部の省は石炭を運び出すことが出来ず、東部は電力不足に陥るケースが頻発している。結局、広東、浙江など沿海の省は、ベトナム、インドネシア、オーストラリアから海路、石炭を輸入せざるを得ない。

 第3に、より深層レベルの原因として、中国では近年、電力、鉄鋼等に代表されるエネルギー多消費型の重工業が飛躍的に成長し、そのことが石炭の大幅な需要増を刺激し、牽引している。2003年以降、中国の石炭需要は毎年20%以上の高いペースで増加しているのである。その他にも、中国国内の需要が急速に伸びているため、中国の石炭輸出量が年々減少しており、そのためこれまで中国からの石炭輸入に依存してきたインドや韓国等のアジア諸国にも必然的に影響が及び、それら諸国はオーストラリアや南アからの輸入拡大を余儀なくされ、そのことが国際石炭価格をますます押し上げているのである。

 国際商品先物市場では「中国の買いたがるものは何でも値段が高くなる」という名言が流行している。筆者はこうした説に100%与するわけではないが、中国の経済成長モデルが直面している課題や圧力を部分的に反映していると言える。

 筆者の考えでは、国際石炭価格の大幅な上昇に対しては、次のような対策を取ることが出来る。

 第1に、電力価格改革や国庫からの助成方式によって、西部地区でクリーンな火力発電事業の開発を進める。

 第2に、東部地区は、風力、ソーラー、都市のゴミなど新エネルギーを燃料とする発電を進めて、石炭火力発電を補完する。

 第3に、各地方は、エネルギー多消費の重化学工業に熱を上げるような頭の固い考え方を改めなければならない。

 このような対策を取らない限り、もし石炭や石油等の国際エネルギー価格がさらに上昇した場合、中国経済は進退窮まる苦境に陥る可能性が極めて高くなる。

 (東方早報 7月31日)