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中国
【省エネ・環境】

【論説】制度面から省エネを支えることが重要 (2007/08/31)
2007/11/22
中国【省エネ・環境】

 世界の省エネ電灯の90%は中国製であるが、しかし、中国の省エネ電灯の使用率は20%にも満たない。国内の省エネ電灯は価格が高く、品質が低く、消費者にとっては節電にはなっても、倹約にはならないからである。

 専門家の試算によると、もし中国の白熱灯をすべて省エネ電灯に交換すると、1年間で600億kWhの節電が可能になる。しかし、人々の間に省エネ意識が定着しておらず、省エネ活動も普及していないため、省エネ電灯の現状には厳しいものがある。こうした現状を改めるため、政府は次のような措置を取る必要がある。

(1) 時代遅れの省エネ電灯を淘汰して、産業の健全な発展を維持する
 中国には省エネ電灯メーカーが500社余りあり、1,000以上ものブランドがある。しかし、低品質の製品を生産する企業が小売店に多くの利益をもたらすため、市場には低品質の製品が溢れており、真っ当なメーカーは劣勢を強いられている。政府の関係部門は監督管理を強化し、市場活動を規範化して、不合格製品を市場から撤去しなければならない。

(2) 消費者にインセンティブを与える。
 国外のノウハウを参考に、優待券を交付するなど消費者が高品質の省エネ電灯を使用するようインセンティブを与える。例えば、EUは白熱灯の販売をすでに禁止しており、低コスト・長寿命の省エネ電灯を開発する企業には補償を与え、省エネ電灯の購入が困難な貧困家庭には補助金を与えている。米国では省エネ電灯を設置するユーザーに対して、費用の75%を政府が負担し、また、消費者は省エネ電灯を1本買うたびにエネルギー省から3ドルの補助金を交付される。こうした動きは、すでに中国の一部都市でも始まっており、江蘇省の常州市は省エネ措置の一環として、貧困家庭に対し無料で省エネ電灯を取り付け、湖南省の長沙市は政府の優遇政策を適用して庶民が高品質の省エネ電灯を使用するよう誘導している。
 
(3) 企業による省エネ電灯普及を促進
国内の大型スーパーマーケットの多くは省エネ電灯から製品出荷価格の80〜100%に上る「進場費」(小売店が宣伝費、陳列費、販売促進費等の名目で供給企業から受け取る不明朗な金銭)を徴収している。そのため、資金力の乏しい国産ブランド品は専門の照明器具市場に追いやられ、スーパーマーケットには高価な外国ブランド品が占めている。一般家庭が省エネ電灯を1本交換するにも、照明器具市場まで買いに行かねばならず、不便極まりない。国産省エネ電灯の「進場費」は出荷価格の20%を超えてはならないと政府が規定するなど、流通システムにおける上述のような状況を改める必要がある。

 矛盾を解決するために技術はもとより重要ではあるが、制度は技術よりもさらに重要である。省エネはスローガンだけでは十分でない。制度面からの省エネがもっと必要である。

(中国環境報 8月31日)