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中国
【省エネ・環境】

エネルギー消費モデルの転換で原油高に対応せよ (08/08/13)
2008/8/15
中国【省エネ・環境】

 「石油電気節約対策の一層の強化に関する国務院通達」と「全民省エネ行動の徹底展開に関する国務院弁公庁通達」が先頃相次いで公布された。国際原油価格の高騰と中国の石油対外依存度の上昇が続く中で、中国の経済成長に対する省エネの意義や、中国の石油節約の余地について専門家に聞いた。

 中国のエネルギー資源は十分ではなく、1人当たりの占有量は世界平均水準をはるかに下回る。しかし、工業化、都市化の急進展に伴い、エネルギー消費量は増加を続け、石油等のエネルギー供給のタイト化は今や中国の経済発展を制約する重要な要因になっている。

 中国石油化学工業協会のデータによると、上半期の原油精製量は前年同期比5.2%増となった。また、石油輸入量の増加と国際原油価格の高騰により、上半期の原油と石油製品の輸入による貿易赤字は累計683.5億ドルに達している。これは、昨年同期の2倍に当たる。

 国家発展改革委員会能源研究所の韓文科所長は、国際原油価格の高騰と中国の石油消費の急拡大が続く中、省エネの中でも特に石油節約を強調させ、原油高に対応するためにエネルギー消費モデルの転換から着手することは第11次5ヵ年規画期の省エネ・排出削減目標を達成する上で意義は大きいと説く。

 特に中国の自動車燃費性能は欧州の平均水準を15〜20%下回る。関連部門の試算によると、もし中国の自動車燃費性能が欧州平均水準並みになると、1年間で約2,000万トンの石油製品を節約することが可能になる。

 「中国の石油節約の余地は極めて大きい。供給を強化すると同時に、不合理な需要を抑制し、効率が高く合理的な石油消費モデルを発展させることは、原油高に積極的に対応する有効な方法である」と発展改革委員会能源研究所の周大地研究員は指摘する。

 国務院の通達は自動車やボイラーの石油節約に関する具体的な規定を設けている。小排気量乗用車の消費税率引き下げ、大排気量乗用車の消費税率引き上げ、省エネ・環境保護型自動車やクリーン・エネルギー自動車の政府優先買入、自動車燃費基準の完備、運輸省エネ管理の強化、公共交通の発展、重油ユニットの停止、工業ボイラーの重油使用の逐次停止、石油節約の強化や代替等の措置が謳われている。

 中国石油化工集団(SINOPEC)経済技術研究院の首席専門家である舒朝霞氏は、中国の石油消費は交通運輸系統に集中しており、交通運輸分野の石油節約の潜在力もまた最も大きいと指摘し、政府は産業政策面では自動車工業技術基準を引き上げるとともに、租税・価格政策面では小排気量車、バイブリッド車等の省エネ・クリーン自動車の使用を奨励するような政策を打ち出すべきであるとしている。

 前述の韓文科氏もまた、交通部門の石油節約については、自動車使用構造のみならず、石油需要の面からもインセンティブを強化すべきであるとし、そのため石油製品価格の合理化と燃油税の制定が必要になると説く。

 周大地氏は、交通運輸系統の石油節約を実現するには、運輸系統の高度化の面でやるべき事は多いと指摘する。周大地氏によると、中国は軌道交通や鉄道総合輸送能力の建設が遅れを取っており、石炭等の大口貨物は高速道路による運輸など低効率の方式に依然頼っている。また、都市では自家用車が急増する一方で、公共軌道交通が遅れており、そのため都市の発展が制約されている。鉄道、高速道路、軌道交通、そして公共交通こそが将来の中国の交通システムの発展方向であり、そうした交通システムを発展させることによって、マクロ省エネ効果を発揮するのみならず、新たな産業を牽引することが出来ると周大地氏は言う。

 また、工業部門の石油節約について、周大地氏は、中国の工業用ボイラーは効率があまりにも低く、ボイラーの改造による省エネの余地は大きいと指摘する。ボイラーの石油節約を進めるには、エネルギー構造の改善、コージェネレーションや余熱利用の普及、不合理な分散型ボイラーの淘汰など様々な措置を組み合わせて総合効果を発揮すべきであると周大地氏は指摘する。

 周氏はまた、中央政府は全民省エネを呼びかけ、石油・電力節約の政策方向を明確にするとともに、ミクロの部分から着手し、政府が行動をもって省エネ強化の決意を説明すべきであるとし、一方、地方の省エネの余地は極めて大きく、地方政府は省エネ措置を貫徹すると同時に、より具体的な方法を案出すべきであると指摘する。

 (中国能源網 8月13日)