石炭輸送力の制約に頭を悩ませている山西省は、1,000億元を投じて、山西、河南、山東の3省を横断する貨物鉄道路線を建設するよう計画している。現在、同計画の事業化可能性調査報告の修正作業が進められており、完了次第、国家発展改革委員会に上程することになる。 計画されている鉄道新線の起点は河東炭田になる。同炭田は中国最大のコークス用原料炭基地であり、山西省中南部もコークス用原料炭が集中している地区である。鉄道線はさらに、臨汾から、河南省鶴壁、山東省泰安を出て青島市董家口又は日照港まで伸びる。全長1,200km。董家口は今後の開発が期待されている港であり、取扱能力は2億トン以上になる見込み。山西省発展改革委員会マクロ経済研究院の李霆院長によると、この鉄道新線によって沿線の3省の工業拠点に石炭を供給して、3省の経済発展を促進することが可能になる。 新線の年間輸送量は当初3億トンにするよう計画されていたが、山間区の勾配など考慮した結果、2.6億トンに落ち着いた。この路線が完成すると、山西北部を走る在来の大秦線(大同−秦皇島)も合わせ、山西省の年産10億トンの石炭輸送問題は解決を見ることになる。特に山西省中南部の輸送力不足問題を解決するとともに、将来的には陝西省中部や甘粛省への延伸も視野に入れている。 山西省の石炭にとって輸送力は一貫してボトルネックであった。出荷価格420元/tの山西の発電用石炭は秦皇島に到着すると800元/t余りになる。中間プロセスの鉄道輸送にかかる費用は大きいが、山西省は大秦線を管轄する鉄道当局に対して発言権はない。山西省が鉄道線を自ら掌握して、港まで直接石炭を輸送できるようにしたいと考えている所以である。 李院長の考えでは、この鉄道新線にはもう1つ大きな戦略的意味がある。自国の鉄鋼産業の発展を望んでいるブラジルにコークスを輸出する一方で、ブラジルから鉄鉱石を調達するのである。これによって中国はオーストラリアの鉄鉱石に対する依存を引き下げることが出来る。 山西省発展改革委員会は、国の関係部門の指導の下に、山西、河南、山東の各省政府や出資する企業集団から構成される「建設指導チーム」を設置するよう提言している。このチームはハイレベルの協議、意思決定機関となり、指揮本部を設けて、新線の建設を推進することになる。 (中国能源網 8月21日)
石炭輸送力の制約に頭を悩ませている山西省は、1,000億元を投じて、山西、河南、山東の3省を横断する貨物鉄道路線を建設するよう計画している。現在、同計画の事業化可能性調査報告の修正作業が進められており、完了次第、国家発展改革委員会に上程することになる。
計画されている鉄道新線の起点は河東炭田になる。同炭田は中国最大のコークス用原料炭基地であり、山西省中南部もコークス用原料炭が集中している地区である。鉄道線はさらに、臨汾から、河南省鶴壁、山東省泰安を出て青島市董家口又は日照港まで伸びる。全長1,200km。董家口は今後の開発が期待されている港であり、取扱能力は2億トン以上になる見込み。山西省発展改革委員会マクロ経済研究院の李霆院長によると、この鉄道新線によって沿線の3省の工業拠点に石炭を供給して、3省の経済発展を促進することが可能になる。
新線の年間輸送量は当初3億トンにするよう計画されていたが、山間区の勾配など考慮した結果、2.6億トンに落ち着いた。この路線が完成すると、山西北部を走る在来の大秦線(大同−秦皇島)も合わせ、山西省の年産10億トンの石炭輸送問題は解決を見ることになる。特に山西省中南部の輸送力不足問題を解決するとともに、将来的には陝西省中部や甘粛省への延伸も視野に入れている。
山西省の石炭にとって輸送力は一貫してボトルネックであった。出荷価格420元/tの山西の発電用石炭は秦皇島に到着すると800元/t余りになる。中間プロセスの鉄道輸送にかかる費用は大きいが、山西省は大秦線を管轄する鉄道当局に対して発言権はない。山西省が鉄道線を自ら掌握して、港まで直接石炭を輸送できるようにしたいと考えている所以である。
李院長の考えでは、この鉄道新線にはもう1つ大きな戦略的意味がある。自国の鉄鋼産業の発展を望んでいるブラジルにコークスを輸出する一方で、ブラジルから鉄鉱石を調達するのである。これによって中国はオーストラリアの鉄鉱石に対する依存を引き下げることが出来る。
山西省発展改革委員会は、国の関係部門の指導の下に、山西、河南、山東の各省政府や出資する企業集団から構成される「建設指導チーム」を設置するよう提言している。このチームはハイレベルの協議、意思決定機関となり、指揮本部を設けて、新線の建設を推進することになる。
(中国能源網 8月21日)