9月4日、国家発展改革委員会ウェブサイトで、神華集団の事業を除く石炭液化事業を一律禁止するとの通達が発表された。 この通達が出されたのは8月4日であり、神華集団とサソル社の提携による陝西省楡林の間接液化事業までもすでに停止されているとの報道もある。 しかし、ここで注意しておかなければならないのは、今回の禁止措置が一刀両断の単純なものではないということである。同通達では、継続可能と確定したモデルプロジェクトについては、企業が技術研究開発を強化し、技術の信頼性、事業の経済的実現可能性、水資源の確保など十分な論証を経た上で許認可の条件を整えた場合、省クラス発展改革委員会から国家能源局に申請することができ、国家能源局及び国家発展改革委員会の審査をパスし、国務院の承認を得られると、実施可能になるとしている。同通達の中でモデルプロジェクトとして継続を許されているのは神華の直接液化事業だけであるが、通達のこの個所を見る限り、その他の事業にもまだ機会が残されていると見ることも出来る。 発展改革委員会の石炭液化事業制限措置は、実は今回が3回目であり、前2回の措置が効果を上げなかったことから、3回目に石炭液化事業の一律禁止に踏み切ったものである。 平安証券のアナリストである陳亮氏によると、石炭液化は、石炭や水資源の浪費、環境問題で難題を抱えている。中国には未だ石炭液化成功のノウハウがなく、新規事業は失敗の可能性が高い。その上、事業の投資規模は莫大であり、企業にとっても国にとっても極めて大きな浪費になりかねない。技術も複雑であり、様々な炭種に適合した技術を見出すことは極めて難しい。そうしたところから、政府は大規模な石炭液化事業は時期尚早と判断したようだ。 今回の措置はすでに石炭液化事業の準備作業に着手している企業にとっては大きな痛手であり、国家発展改革委員会から承認を得ることは極めて難しくなる。 最も大きな影響を被ったのは●鉱集団の陝西省楡林事業である。同事業は第2回FS(事業化可能性調査報告)をすでに完成しているが、発展改革委員会の認可は未だに受けていない。同事業の行方について、同集団の張鳴林副総経理(副社長)は電話取材に対して、目下検討していると答えただけである。 内蒙古伊泰集団や山西▲安集団の石炭液化事業は、現地の発展改革委員会からの許可を得て、いずれも建設が進められているが、国家発展改革委員会からは正式許可を得ていない。しかし、山西▲安集団は、今回の発展改革委員会の通達を未だ受け取っておらず、事業の進捗には影響が及んでいないとし、年内にも液化油の生産が可能としている。伊泰集団もまた通達を受理していないとし、順調に進展すれば、来年にも操業を開始できるとしている。 石炭市場に詳しい張朝林氏によると、中国では事業の建設を進めながら発展改革委員会への申請を行なっている例が多いとし、石炭液化事業は大規模商用化の成功例がないため、発展改革委員会未許可の事業でも、順調に液化油の生産が開始されれば、許可を得るのは容易であるとしている。 張朝林氏は、技術的な成功、環境保護の保証、経済的な採算性が確保できれば、石炭液化事業の展望は極めて大きいとし、西部地区の石炭は生産量が多く価格は安いものの現地での消費が限られるため、もし液化油としてパイプラインにより東部に輸送することが出来るようになれば、相当の収益が期待できるとしている。 (華夏時報 9月8日) ●鉱集団…草カンムリに「ハ」の下に「允」 ▲安集団…サンズイに「路」
9月4日、国家発展改革委員会ウェブサイトで、神華集団の事業を除く石炭液化事業を一律禁止するとの通達が発表された。
この通達が出されたのは8月4日であり、神華集団とサソル社の提携による陝西省楡林の間接液化事業までもすでに停止されているとの報道もある。
しかし、ここで注意しておかなければならないのは、今回の禁止措置が一刀両断の単純なものではないということである。同通達では、継続可能と確定したモデルプロジェクトについては、企業が技術研究開発を強化し、技術の信頼性、事業の経済的実現可能性、水資源の確保など十分な論証を経た上で許認可の条件を整えた場合、省クラス発展改革委員会から国家能源局に申請することができ、国家能源局及び国家発展改革委員会の審査をパスし、国務院の承認を得られると、実施可能になるとしている。同通達の中でモデルプロジェクトとして継続を許されているのは神華の直接液化事業だけであるが、通達のこの個所を見る限り、その他の事業にもまだ機会が残されていると見ることも出来る。
発展改革委員会の石炭液化事業制限措置は、実は今回が3回目であり、前2回の措置が効果を上げなかったことから、3回目に石炭液化事業の一律禁止に踏み切ったものである。
平安証券のアナリストである陳亮氏によると、石炭液化は、石炭や水資源の浪費、環境問題で難題を抱えている。中国には未だ石炭液化成功のノウハウがなく、新規事業は失敗の可能性が高い。その上、事業の投資規模は莫大であり、企業にとっても国にとっても極めて大きな浪費になりかねない。技術も複雑であり、様々な炭種に適合した技術を見出すことは極めて難しい。そうしたところから、政府は大規模な石炭液化事業は時期尚早と判断したようだ。
今回の措置はすでに石炭液化事業の準備作業に着手している企業にとっては大きな痛手であり、国家発展改革委員会から承認を得ることは極めて難しくなる。
最も大きな影響を被ったのは●鉱集団の陝西省楡林事業である。同事業は第2回FS(事業化可能性調査報告)をすでに完成しているが、発展改革委員会の認可は未だに受けていない。同事業の行方について、同集団の張鳴林副総経理(副社長)は電話取材に対して、目下検討していると答えただけである。
内蒙古伊泰集団や山西▲安集団の石炭液化事業は、現地の発展改革委員会からの許可を得て、いずれも建設が進められているが、国家発展改革委員会からは正式許可を得ていない。しかし、山西▲安集団は、今回の発展改革委員会の通達を未だ受け取っておらず、事業の進捗には影響が及んでいないとし、年内にも液化油の生産が可能としている。伊泰集団もまた通達を受理していないとし、順調に進展すれば、来年にも操業を開始できるとしている。
石炭市場に詳しい張朝林氏によると、中国では事業の建設を進めながら発展改革委員会への申請を行なっている例が多いとし、石炭液化事業は大規模商用化の成功例がないため、発展改革委員会未許可の事業でも、順調に液化油の生産が開始されれば、許可を得るのは容易であるとしている。
張朝林氏は、技術的な成功、環境保護の保証、経済的な採算性が確保できれば、石炭液化事業の展望は極めて大きいとし、西部地区の石炭は生産量が多く価格は安いものの現地での消費が限られるため、もし液化油としてパイプラインにより東部に輸送することが出来るようになれば、相当の収益が期待できるとしている。
(華夏時報 9月8日)
●鉱集団…草カンムリに「ハ」の下に「允」
▲安集団…サンズイに「路」