1. HOME
  2. 中国 【エネルギー全般・政治経済】

中国
【エネルギー全般・政治経済】

【論説】8月のCPI上昇率4.9%に止まるもなお先の見えないエネルギー価格改革 (08/09/11)
2008/9/12
中国【エネルギー全般・政治経済】

 8月の中国のCPI(消費者物価指数)上昇率は当初の予想を下回る4.9%となり、13ヶ月ぶりに5%以内に収まった。そのため、エネルギー価格改革の余地が出て来た。

 世界的な食糧生産の回復や穀物の在庫増、国際石油価格の下落などでインフレ圧力は全面的に緩和されるとマーケットは見ている。また、8月の4.9%というCPI上昇率は、政府のインフレ対策の段階的な成功を意味している。そのため、9月には石油製品や電力価格が市場に連動する動きが出てくる可能性が高まっている。

 初級製品価格の改革を進め、資源・エネルギー価格を合理的なものにして、資源不足の程度を価格に反映させることは、資源・エネルギーの利用効率を高め、成長パターンを転換する上で効果が大きいことは早くから共通認識となっていたが、これまでの厳しいインフレ状況のため、価格改革は遅々として進まなかった。

 しかし、現実的にも、原油価格の高止まりが製油部門の大幅な赤字をもたらしたため、政府が石油製品価格の合理化を速やかに進めることが求められている。また、電力供給の不足が拡大し、5大電力集団がすべて赤字に陥る中で、経済のセキュリティを確保する上でも電力価格を速やかに引き上げることが求められているのである。

 だが、そのような切迫した状況にも関わらず、国家発展改革委員会は、価格改革に対しては慎重でなければならないとしている。

 注意しておかなければならないのは、8月のCPIは顕著に下がったものの、工業品出荷価格(PPI)上昇率はなお10.1%に上っていることである。CPIとPPIの間に価格分断(price scissors)が存在していることは、CPIには依然として一定の上昇圧力があることを示している。

 もし、9月中に石油製品や電力を値上げした場合、第4四半期にインフレ反発の可能性が高まることは間違いない。そのため、インフレ抑制に有効な一連のマクロ調整政策が急速に緩和される可能性はあるまい。また、政策の連続性を維持するためには、中央政府が急速な物価上昇を抑制する手段を放棄することはあり得ない。

 (証券時報 9月11日)