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ロシアの9月4日付新聞報道によると、ロシア、カザフスタン、トルクメニスタンの3ヵ国首脳は9月12〜13日にトルクメニスタンの首都アシガバートで会談し、トルクメニスタンからカザフスタンを経由してロシアに到るカスピ海沿海天然ガスパイプライン連携に関する協定に調印することになっていた。しかし、トルクメニスタンが米国の説得により、ロシアを迂回する欧州向け天然ガスパイプライン建設の意向を示しているため、ロシア大統領プーチンはトルクメニスタン訪問をキャンセルした。ロシアと欧州のエネルギーをめぐる確執は、中央アジアエネルギー争奪戦に飛び火している。
今年5月、3ヵ国首脳は、年間輸送能力200億m3のカスピ海沿海天然ガスパイプライン建設で合意し、9月までに協定を締結することになっていた。しかし、ロシア副首相ナルイシキンは、未だ1件の文書も準備できていないことを明らかにした。
カスピ海沿海天然ガスパイプラインがなかなか進まない背景には、米国の動きがある。米国はカスピ海海底パイプラインの建設をトルクメニスタン当局に説いてきた。これは、中央アジアの天然ガスを、ロシアを迂回するカスピ海海底パイプラインによって南コーカサスに輸送してから、バクー−ドビリシ−エルズルムのパイプラインに入れるというもの。今年8月、米国国務次官補サリバンはトルクメニスタンを訪問し、カスピ海海底パイプライン建設で合意に達した。サリバン国務次官補によると、トルクメニスタンは天然ガス輸出ルートの多元化に大きな興味を示したという。一方、カスピ海に長期的な権益を有する米国にとり、ロシアを迂回して欧州に天然ガスを輸出することは、ロシアによる欧州天然ガス市場の独占を打破することにつながる。
トルクメニスタン大統領ベルディムハメドフは9月末に米国を訪問し、ライス国務長官や米財界人と会談するが、米国のエネルギー戦略にとってその意義は大きい。ロシアはトルクメニスタンと米国の接近に不満を抱いており、プーチンのトルクメニスタン訪問のキャンセルもこうした背景があると考えられる。
ロシアがカスピ海海底パイプラインを脅威と捉えているのは、ロシアが今後このパイプラインと競争することになるだけでなく、ロシア向け輸送能力の大幅な低下を招くからである。さらに、中央アジア諸国が中国などその他の国への輸出することは、ロシアにとっても、米国にとっても脅威となる。
トルクメニスタン−中国天然ガスパイプラインは2009年の開通を予定しており、完成後にトルクメニスタンは中国に対し年間300億m3の天然ガスを輸送することになる。また、トルクメニスタンはイランとの協力も強化している。現在年間80億m3の天然ガスをイランに輸送しているが、両国の合意によると、将来120〜140億m3に増加させる。
カザフスタンはロシアとトルクメニスタンの間で「仲介人」の役割を装い、カザフスタン大統領ナザルバーエフはロシアの側に立って、トルクメニスタンに対してカスピ海海底パイプラインよりも沿海パイプラインの建設を優先するように説得を試みているが、カザフスタン自身はトルクメニスタンと同様にエネルギー輸出の多元化を模索し、中国へのパイプライン建設も進めている。カザフスタンから中国への石油輸出は、2010年までに年間2,000万トンに達するだろう。
いずれにせよ、今後、中央アジアの天然ガス輸出をめぐって、カスピ海沿海パイプライン、カスピ海海底パイプライン、ユーラシアパイプラインの3本が並存し、カスピ海海底パイプラインとユーラシアパイプラインは、ロシアを迂回しつつ、それぞれ欧州と中国の天然ガスを供給することになる。
(中国油気管道網 9月5日)