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アジア
【石油・天然ガス】

カザフスタンとアゼルバイジャンが中国と欧州に対する石油輸出で提携 (2007/08/20)
2007/8/20
アジア【石油・天然ガス】

 カザフスタン大統領ナザルバエフは8日、同国訪問中のアゼルバイジャン大統領アリエフに対し、アゼルバイジャンはカザフスタン領内を経て中国などアジア諸国及びロシアに石油等の商品を輸出することができると提案し、一方、アリエフ大統領も、カザフスタンに対し、欧州への石油輸出が便利になるよう、カザフスタンのパイプラインを開通済みのバクー−トビリシ(グルジア)−ジェイハン(トルコ)石油パイプラインに連携させることを提案した。また、アリエフは、アゼルバイジャン側では、カザフスタンの石油がこのパイプラインによって欧州に石油を輸出するための一切の準備がすでに整っているとした。

 両国は昨年6月、カザフスタンの石油パイプラインとバクー−トビリシ−ジェイハン石油パイプラインを連結することで基本的に合意していたが、今回、両国大統領は、改めて国防産業やエネルギー輸送など4項目の協力で合意し、共同声明を発表した。同声明は、両国が互いに長期的エネルギー協力パートナーとなり、石油と天然ガスの共同輸送システムを確立すると強調している。また、両国は交通や通信の分野でも協力することになる。

 中国へのエネルギー供給によってもたらされる利益はこれまでロシアが握っていたが、アゼルバイジャンとカザフスタンは、今回の提携により、ロシアからその利益の一部を奪うことになる。

ソ連の解体によって、ユーラシア大陸の石油・天然ガス輸送一体化構想は実現が困難になり、多くのCIS諸国は欧州向け石油・天然ガス輸出の面で各自の利益を追求するようになった。そのため、ロシアは隣国の一挙手一投足に警戒しなければならない。アゼルバイジャン大統領アリエフがカザフスタンに対し、ロシアを迂回して石油・天然ガスを輸出するよう再三にわたって提案していたことはロシアも早くから知っている。一方、カザフスタン大統領ナザルバエフは、大国間を周旋することに長けており、カザフスタンがより大きな利益を獲得できるよう図っている。ナザルバエフはアリエフの提案に対し、これまで明確な回答を与えなかったが、今回、両国が協力に合意したことから、カスピ海をめぐる両国間の確執はもはや存在していないと見られている。

 (中国油気管道網 8月20日)