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【石油・天然ガス】

中露石油パイプライン交渉中断も中緬パイプライン経営権獲得で意に介さない中国 (08/11/25)
2008/11/26
中国【石油・天然ガス】

 ESPO(東シベリア−太平洋)パイプライン中国支線の建設をめぐる中露交渉は、ロシア側がその見返りの長期ローンの利率が高いため中断に踏み切ったが、一方、中国とミャンマーは、中国側が中緬石油・天然ガスパイプラインの経営権を掌握することで合意した。中国はロシアからの石油パイプラインよりも信頼性の高い石油パイプラインを得て、ロシアの石油を懇望するには及ばなくなっている。

 原油価格の下落によって、ロシアの石油という武器は弱体化したが、意外なことにロシアはESPOパイプライン中国支線建設交渉を突如中断した。中国時報の報道によると、中露石油パイプラインをめぐる交渉はすでに9年もの間遅々として進んでいなかった。なぜなら、その間、石油価格は20ドル余りから140ドルに高騰したからである。また、中国は急速な経済成長を遂げ、石油需要が大幅に拡大し、世界の到るところで石油供給源獲得に努めていた。

 だが、すでに国際石油価格が60ドルにまで下落する中、中露双方は先月28日にようやく合意に達し、了解覚書に調印した。ロシアはパイプライン建設費が乏しいため、中国側がロスネフチに150億ドル、トランスネフチに100億ドルの融資を行う一方、ロシア側は今後20年、年間1,500万トンの石油を供給することで合意された。

 それにも関わらず、わずか2週間で、ロシア側は交渉を中断した。金利があまりにも高く、中国の求める担保にも問題があったためとされている。しかし、中国側は最早交渉中断を意に介することはない。ロシアはこれまで、石油をあらゆる交渉の武器としてきた。石油価格が高騰し、石油供給源が乏しい中でその武器は大きな効力を発揮した。しかし、今やロシアは高圧的な態度に出るわけには行かない。その最大の理由は、中国がESPOパイプライン中国支線に石油を依存する必要がなくなったからである。さらに、中国側は、パイプラインが完成しても、果たして供給するに足る十分な石油がロシアにあるかどうかについても疑っている。

 もう一方では、中国とミャンマーは、中国側が中緬石油・天然ガスパイプラインの経営権を獲得することで合意した。これにより、中国は中東からの石油を最短距離で手にするとともに、ミャンマー海域の天然ガスを獲得することも可能になる。最早マラッカ海峡を経由する必要がなくなり、輸送日数は7日間に短縮できる。中国側はミャンマー西南部のバングラデシュ湾の島嶼に天然ガス備蓄基地と石油タンカー専用埠頭を建設することになる。石油と天然ガスはパイプラインにより、マンダレー等を経て昆明に輸送される。中国はミャンマーという後ろ盾を得る。中緬パイプラインは中露パイプラインよりもはるかに信頼性が高く、最早ロシアの石油は中国にとって垂涎の的にはならないのである。

 (新華網 11月25日)