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中国
【石油・天然ガス】

年内にも天然ガス価格制度改革 石油製品改革をモデルに (09/01/12)
2009/1/14
中国【石油・天然ガス】

 1月1日の石油製品価格・税費用改革の実施に伴い、もう1つの重要なエネルギーである天然ガスの価格決定制度改革もまたスケジュールに上り始めた。この点につき、中国石油天然ガス集団(CNPC)筋は、すでに改革素案を政府に上程したことを明らかにした。改革案は年内にも策定され、石油製品改革をモデルとして、天然ガス小売価格の合理化が進められることになる。CNPC筋によると、3大石油大手の天然ガス小売価格は統一に向かう。

 アモイ大学エネルギー経済研究センターの林伯強主任もまた、天然ガス価格決定制度改革が年内に実施される公算は極めて高いと指摘する。現在、中国の天然ガス価格はその実質的な価値をはるかに下回っており、同種のエネルギーに比べても低すぎる嫌いがある。天然ガス価格制度改革は、石油製品価格・税費用改革をモデルとし、市場の需給関係を主とし政府のマクロ調整を補助手段として、末端の小売価格を合理化する形で進められると、林伯強主任は予想する。

 現在、中国の中・東部の大都市における民生用LPG価格は5.5〜7.5元/kgで、天然ガス価格に換算すると4.1〜5.6元/m3になる。一方、同じ都市の民生用天然ガス価格は2.1〜2.4元/m3で、LPG価格の半分に過ぎない。こうした価格差は天然ガス需要の急拡大を招いており、特に化学工業用の浪費は深刻。また、利幅が小さいため天然ガス供給側は生産に後ろ向きであり、その結果、需給はますますタイトになる。業界筋は、市場が主導し需給関係を反映する価格決定制度を可及的速やかに確立するよう訴えている。

 また、需給ギャップと人為的な価格抑制によって市場価格が混乱していることも改革を推進すべき理由の1つになると林伯強主任は指摘する。現在、中国の天然ガス価格は地方によって異なる。例えば、上海と北京の価格は1m3当たり0.45元の格差がある。こうしたことが続けば、天然ガスの持続可能な発展や希少資源の有効利用にとって極めて大きな障害になる。

 「政府は今回の石油価格暴落のチャンスを生かして、速やかに改革案を打ち出し、天然ガス価格の合理化を進めなければならない。価格は需給関係と希少資源の内在価値を真の意味で体現できるようにすべきである」と林伯強主任は言う。

 石油・天然ガス問題に詳しい韓学功教授もまた林伯強主任と同様の考えを示すが、しかし、政府の独占的資源である天然ガス価格決定制度を改革することは容易ではないと指摘する。韓学功教授によると、第1に、中国のWTO加盟時の4項目の公約においても天然ガスは国が価格を決定する対象とされており、市場による決定に委ねることは出来ない。その上、天然ガス供給は長期契約であり、テイク・オア・ペイが慣行になっている。市場が変化したとしても価格は変わらない。第2に、天然ガスと石油製品は性質が異なる。市民生活にとって天然ガスは石油よりも重要であり、いったん天然ガス配給管を設置すると、他の代替エネルギーを利用することは出来なくなる。ガス料金値上げをしようとしても、争論を巻き起こすだろう。また、石油製品と天然ガスでは現行の価格決定制度も異なる。天然ガス価格改革において石油製品価格・税費用改革を参考にしようとするのにも限界がある。さらに、各地の天然ガス価格が異なるのは、輸送コストと管理コストに差があるからである。

 結局、国内の天然ガス価格の市場化はお話にもならず、天然ガスは実質的に国の独占が続くと韓学功教授は指摘する。天然ガス価格決定制度の改革と言っても、当面は、適当な助成措置を行うという状況の下で、中央政府の指導する天然ガス出荷価格に地方政府が地方毎に異なるパイプライン輸送費と管理費を加算する形で最終小売価格が決定されることだろう。

 (上海証券報 1月12日)