1. HOME
  2. 中国 【石油・天然ガス】

中国
【石油・天然ガス】

中国 今年以降5ヶ国と総計450億ドルの石油融資協定 「契約備蓄」の新しい形にも (09/05/21)
2009/5/21
中国【石油・天然ガス】

 ブラジル国営石油会社ペトロブラスは19日、中国国家開発銀行と100億ドルに上る融資契約に調印し、一方、中国石油化工(Sinopec)との間で、日量15〜20万バレルに上る石油輸出契約に調印した。

 今年2月以降、中国は、ロシア、ブラジル、ベネズエラ、アンゴラ、カザフスタンの5ヶ国との間で、総額450億ドルに上る石油・融資協定を結んでいる。いずれも同じように融資の見返りに石油長期供給を約定する形である。

 中国はなぜ短期間で多くの国と石油・融資協定にこぎつけることができたのか。国家発展改革委員会能源研究所エネルギー経済発展研究センターの高世憲主任は、これら石油資源国は国際金融危機によって経済に問題が生じ、大量の資金を要するようになったためと指摘する。また、国家情報センター経済予測部のエネルギーエコノミストである牛犁氏も同様に、これら諸国に資金不足が生じなければ、中国との合意は成立しなかったと言う。牛犁氏によると、これら諸国は本来いかなる国とも長期原油供給契約によって縛られることを望んでいなかったが、経済に困難が生じ、石油会社は破産の危機に直面した。一方、中国の金融は安定しており、大量の貸付資金を有している。なお、融資の財源は銀行の自己資金であり、巷間言われているような外貨準備を切り崩したわけではない。

 こうした融資方式はこれまでも多くの国々が行っていると高世憲主任は言う。この種の方法は石油に止まらず、他の商品についても適用できる。もし中国が1回限りの、融資以外の方式を採ったとしたら、10年もの長期契約は成立しなかっただろう。

 このような融資と石油供給を交換する方法を推し進めることは、中国の海外エネルギー戦略にとって実行可能性の高い策略になると、天相投資のアナリスト趙鵬程氏は見ている。また、他のアナリストは、石油供給・融資交換方式によって協定、契約を多数結べば、それは「海外契約備蓄」の新たなモデルにもなると指摘している。

 (毎日経済新聞 5月21日)