1. HOME
  2. 中国 【エネルギー全般・政治経済】

中国
【エネルギー全般・政治経済】

中国 GDP成長率とエネルギー消費データの矛盾を突く海外からの指摘に国家統計局が反駁 (09/05/26)
2009/5/29
中国【エネルギー全般・政治経済】

 5月15日付「ウォールストリートジャーナル」紙は、IEAのレポートを引用して、中国の経済データの信憑性に疑問を投げかけたが、中国国家統計局はこれに対し、同レポートは論拠に欠けるとして反駁した。以下、国家統計局担当者と記者との問答。

 (記者)なぜIEAのレポートを論拠に欠けると見ているのか?

 (統計局)同レポートは、今年第1四半期の中国のGDP成長率と、石油需要及び電力需要のデータが矛盾するとしているが、このような対比は科学的ではない。経済全体の成長率と一部のエネルギー消費量の伸び率を対比するのは誤り。実際には、第1四半期のGDP成長率は6.1%であったが、同時期のエネルギー総消費量は3.0%増えており、矛盾はない。

 (記者)経済がプラス成長なのになぜ電力使用量はマイナスになっているのか?

 (統計局)それには2つの原因がある。第1に今年第1四半期に産業構造が大きく変化したから。電力使用量の相対的に少ない第三次産業が比較的急速に伸びた。第1四半期における第三次産業の成長率は7.4%で、第二次産業のそれを2.1ポイント上回り、GDPに占める比率も42.7%から44.3%に上昇して、工業の比率を超えた。一方、GDPに占める工業生産の比率は前年同期の46%から、今年第1四半期には44.1%に下がった。第2に、主要エネルギー多消費産業の付加価値額と電力使用量の伸びが鈍化し、一方、電力使用量の少ないハイテク産業が急速に伸びたからである。6大エネルギー多消費業種の付加価値額の伸び率は前年同期より12.5ポイント低い2.33%に落ち込み、同業種の電力使用量の伸び率は前年同期のプラス13.2%からマイナス3.7%に落ちた。一方、ハイテク産業の付加価値額の第1四半期における伸び率が、通信交換設備34.7%、化学薬品14.0%、生物・生化学製品17.2%、医療設備器械11.0%になるなど、一定規模以上の企業の工業付加価値額全体の伸び率5.1%をはるかに上回った。経済がプラス成長になり、電力使用量(発電量)がマイナス成長になったが、両者の変化には矛盾はない。

 (記者)経済成長と電力使用量の変化が一致しないような状況は中国以外でも発生したことがあるのか?

 (統計局)米国、日本、韓国などでも発生した例がある。例えば、米国では2001年の電力消費は3.6%のマイナスであったが、GDPは0.8%のプラスになった。日本では、1980年、1982年、2001年、2003年に電力消費がマイナスになったが、GDPはプラス成長になったことがある。逆に、韓国では1980年、電力消費が5.4%のプラスであったのに対し、GDP成長率は1.5%のマイナスになった。

 (記者)IEAのレポートは、中国の今年第1四半期GDP成長率6.1%に対し、貿易量が前年同期比で約20%のマイナスになったことは矛盾するとして、GDP統計に疑問を投げかけているが?

 (統計局)データ自体に間違いはない。しかし、完全な対応関係にあるわけではない2つのデータを対比することは間違っている。GDPの伸びは投資、消費、外需の伸びの総合的な結果であり、その3大需要の中の1つ、ここでは外需がGDPの伸びと一致していないことは異常ではない。需要の1つがマイナスになっても、その他の需要の伸びがより大きければ、GDPがプラス成長になることもある。まして貿易量にはサービスが含まれていないので、真の意味の外需ではない。問題を分析するに当たっては、「群盲象を撫でる」かのような過ちは禁物だ。今年第1四半期の中国のGDP成長率は6.1%になったが、これは完全に内需が牽引したものだ。確かに、国際金融危機が拡散し、世界経済は急激に低下し、外需は大幅に減退している。しかし、そうした情勢の中、中国は内需拡大、経済の安定的かつ比較的急速な成長のための包括的計画を実施し、その結果、投資は引き続き急成長し、消費は安定的に成長している。経済成長に対する内需の寄与度は大きくなった。今年第1四半期において外需はGDP成長率を0.2ポイント押し下げたが、投資と内需が6.3ポイント押し上げたのだ。

 (記者)他に言いたいことは?

 (統計局)国際機関が発表する情報は、真摯で厳格で責任感のあるものでなければならない。とりわけ今日のような国際金融危機にあっては、一層厳格であるべきだ。

 (人民網 5月26日・新華網 5月27日)