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【エネルギー全般・政治経済】

中国 5月の工業生産統計に中国人エコノミストからも疑問の声 (09/06/15)
2009/6/15
中国【エネルギー全般・政治経済】

 国家統計局が先週発表した工業付加価値生産額に対して、中国のエコノミストからも疑問の声が出ている。統計局の発表によると、中国の5月の一定規模以上の製造企業の付加価値生産額は8.9%増、伸び率は4月期に比べ1.6ポイント上昇し、昨年10月以降では最も高い数字になった。

 中国マクロ経済学会秘書長・王建

 工業付加価値生産額は経済動向を反映する重要な指標の1つであり、もしそれが本当に伸びているのなら、国民経済は底入れし安定に向かっていることになる。しかし、工業付加価値生産額の対前年同期比の伸び率は5%前後だろう。企業の在庫処理はまだ終わっていないため、5月期の鉄鋼及び圧延加工業の出荷価格は前年同期比22.4%の下落になった。このことは企業の投資需要が十分でないことの証であり、エネルギー消費や工業部門の電力使用量のデータからもそのことが窺える。工業生産の伸び率と投資の伸び率が急上昇しているのには、地方政府の成長死守の圧力が高まっていることや、従来の建設中の投資事業を加速されていることが背景にあるのだろう。不動産業界の幹部は異口同音に建設中の事業開発は加速されているが、新規の事業がないと言う。不動産は民間投資の風見鶏であり、固定資産投資の4分の1を占める。不動産業に新規投資事業がなければ、工業生産の急速な回復も極めて難しいだろう。

 中国社会科学院経済研究所研究員・袁鋼明

 工業生産がほぼ9%のプラスというのは事実と異なる。国家電網のデータによると、5月の全国発電量は2,897.19億kWhで前年同期比3.54%のマイナスになり、減少幅は4月の3.55%とほぼ横ばいである。米国のこれまでの例だと、工業電力使用量と工業生産に差があっても、一般に3ポイント程度である。その計算を当てはめれば、中国の工業生産の伸び率はゼロになる。

 (経済参考報 6月15日)