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【石炭】

中国が石炭、レアアースを皮切りに鉱産地戦略備蓄 (10/05/20)
2010/5/21
中国【石炭】

 国土資源部は国家鉱産地戦略備蓄をテーマに、専門家を招いて研究会を開催した。

 中国政府は鉱産地戦略備蓄の研究を進めており、石炭とレアアースを皮切りに、試験的に戦略備蓄を実施する見通し。

 国土資源部中央地質探査基金管理センターの程利偉主任によると、同センターは2009年に鉱産地戦略備蓄計画の研究に着手し、すでに研究は終盤に近づいている。鉱産資源の戦略備蓄は資源セキュリティにとって重要であり、戦略石油備蓄はすでにスタートしているが、鉱産地備蓄は未着手であり、取り急ぎ推進することが必要である。

 昨年1月の国土資源部規画司による「全国鉱産資源計画(2008−2015年)」において示されているように、中国の鉱産資源備蓄は鉱物種備蓄と鉱産地備蓄の2つに分けられる。計画によると、中国は2020年までに40〜50ヵ所の鉱産地備蓄と10〜20ヵ所の特殊炭種及び不足炭種の炭田備蓄を設ける。

 国土資源部と財政部は2008年に「鉱産資源戦略基地備蓄研究」を完了し、「鉱産資源戦略基地備蓄管理弁法(意見版)」を提出した。さらに、2009年にはレアアースと石炭に重点を置いた試験的鉱産地戦略備蓄計画の研究を開始、鉱産戦略備蓄基地の立地と利害調整問題を解決するため、試験的実施計画案をまとめ、速やかに関連作業を進めた。

 中国煤炭経済研究会の趙家廉事務局長によると、試験的石炭鉱産地備蓄の最大の目的は、石炭資源のセキュリティを増強すること、石炭の秩序立った開発を確保すること、経済的に価値の高い特殊炭種と不足炭種を保護することにある。「全国鉱産資源計画(2008−2015年)」に基づき、コークス用原料炭、瀝青炭、ガス用炭等の保護を強化する必要がある。「コークス用原料炭を例に取ると、近年、中国の原料炭埋蔵量が世界において占める比率は日増しに小さくなっている」と趙家廉氏は言う。中国は8大コークス用原料炭基地を発表し、保護的な開発措置を採っている。コークス用原料炭の輸出枠も大幅に制限されるようになった。一方、輸入にはほとんど制約がない。それらの措置はすべて資源の持続可能な開発を維持するためである。

 また、程利偉氏によると、鉱産資源戦略備蓄は、突発的な供給の中断に対する最も直接的で効果的な手段であり、多くの諸国、特に先進諸国はこれを重視している。

 この数年、鉱産資源戦略備蓄制度に対する呼び声がますます高まっており、各分野の専門家が様々な形で研究や政策提言を行っている。鉱産資源戦略備蓄のうち、戦略石油備蓄はすでに開始されている。物資備蓄方式による鉱産物備蓄は、実践面においてはすでに機が熟している。一方、鉱産地備蓄は、運営コストが低く、長期的に有効な資源備蓄方式であるが、未だ実施段階には進んでいない。

 業界筋の分析によると、鉱産戦略基地の細目については、考慮すべき問題が多い。国土資源部規画司の鞠建華副司長は、鉱産資源戦略基地の建設に当っては、資源埋蔵条件や国の鉱産調整政策に合致していることを前提にするとともに、区域資源補償制度を設けることも必要である。

 また、企業が主体となる海外買収によって重点鉱物種の備蓄を実現する場合、政府は企業のこの種の備蓄活動に一定の支援策を供与する必要がある。

 業界関係者は、適切な利益補償の仕組みを設けなければ、鉱産戦略備蓄を実施に移すことは難しいと指摘する。例えば、石炭価格が低迷している場合、石炭生産区は国家石炭備蓄基地の指定を受け、国からの建設投資や資源補償金を得るよう希望するが、石炭価格が上昇した場合、特に不足を来たしている炭種が地方経済の支柱になっている場合、これらの炭種の開発を制限しようとする国の戦略と地方経済発展との間に矛盾が生じることは避け難い。

 「鉱産資源備蓄は、政府と企業の2つの次元から確立し、中央政府の計画と地方経済の協調と統一を図ることが必要」と趙家廉氏は説く。「国土資源第11次5ヵ年規画綱要」は、政府と企業の共同出資による鉱産物備蓄の仕組みを確立し、エネルギーと重要鉱産資源、鉱産物と大中型確認鉱産地戦略備蓄体系を形成することを、明確に打ち出している。

 (中国能源報 5月20日)