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【エネルギー全般・政治経済】

新エネルギーは原子力発電の理想的な代替物にあらず (11/09/23)
2011/9/29
中国【エネルギー全般・政治経済】

 国家発展改革委員会エネルギー研究所の李俊峰副所長は寧夏自治区銀川においてインタビューを受け、中国の原子力発電と新エネルギーに対する見方を示した。以下、李氏の発言要旨。

 中国の原子力発電において当面最も大きな問題は、設備製造業のシステムが整っておらず、システム統合メーカーが乏しいことだ。フランスにはアレバがあり、日本には東芝、米国にはウェスティングハウスがあるが、中国には何があるのか。東方電気、上海電気、ハルビン電気など中国の原子力発電設備メーカーはいずれも単独で原子力発電の一括請負をする力がない。中核集団、中広核等の原子力発電公司は投資企業であり、事業主に過ぎない。中国の原子力発電は50年間にわたって発展したが、自身のシステム統合メーカーや相応の標準体系が未だに形成されていない。そのため、原子力発電の発展情勢については楽観できない。

 しかし、未来の中国エネルギー構造において原子力発電を他に代替させることは極めて難しい。風力発電、太陽光発電等の新エネルギーに依存するだけでは原子力発電に取って代わることは困難である。例えば、発電利用時間に差があるため、1,000万kWの原子力発電に取って代わるには4,000万kWの風力発電や6,000万kWの太陽光発電が必要になる。原子力発電計画が滞ると、計画外の2億数千万kWの風力発電や4億kW余りの太陽光発電を増やす必要がある。しかし、太陽光発電の系統連系価格は極めて高く、もし原子力発電の空白を太陽光発電で代替する場合、2020年には太陽光発電を数億kWにしなければならず、そうなれば中国の全体的な電力価格水準は大幅に上昇し、工業用電力は1kWhにつき1元の時代になる。必然的に中国の経済発展の代価とコストも高くなり、中国経済の全体的な競争力にも影響が及ぶ。これでは国の全体利益に合致しない。したがって、太陽光発電の発展規模は経済発展の水準に適したものでなければならない。

 もし原子力発電が全面的に停滞すれば、2020年に中国の一次エネルギーに占める非化石エネルギーの比重を15%にするとの目標は、実現が極めて難しくなる。15%の目標は決して変更できないものではない。すべて実際から出発しなければならない。気候変動に関する公約を完全に実現した国は未だ一国とてない。第1期において先進諸国はいずれも目標を達成していない。第2期も苦難の中で進められている。日本もかつて2030年に原子力発電の比率を50%以上にすることを打ち出したが、見直しに直面している。温家宝首相が述べたように、中国経済の発展と人民の幸福を出発点として、中国経済は質的な成長、全面的、協調的で持続可能な成長を実現しなければならない。また、科学技術の支えと高度のハイテクを含む成長でなければなない。低炭素、低公害、環境保護型の成長、民生に恩恵が及ぶ成長でなければならない。

 (中国能源網 9月23日)