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【石炭】

資源税改革が落着も石炭は依然従量制 (11/10/19)
2011/10/27
中国【石炭】

 10月10日、国務院は資源税暫定条例を改正し、11月1日より施行することにした。石油・天然ガスの税率は、昨年の新疆での実験の際は5%であったが、今回の新条例では5〜10%に改められることになった。コークス用原料炭の課税基準は、従来のトン当たり0.3〜5元から、8〜20元に引き上げられる。一般炭は0.3〜5元である。コークス用原料炭と一般炭はいずれも従量課税方式を採用する。財政部と国税総局が資源税改革案を策定したのは2006年。今回の資源税暫定条例の改正により、5年を経た資源税改革がようやく落着したことになる。

 新条例により、コークス用原料炭の課税基準は1トン8〜20元に引き上げられたが、一般炭は0.3〜5元に据え置かれた。コークス用原料炭は希少資源であり、その価格と利益率は他の石炭よりもはるかに高い。そのため、課税基準の引き上げも理の当然であろう。一般炭については、業界筋の見方によると、資源税が従量課税のままであるのは、電力用石炭の需給ギャップを緩和することを考慮したためであると見られる。「電力逼迫の大きな誘因の一つは石炭価格が高すぎ、資源がタイトであること。改革によって税負担が過重になれば、高い石炭価格は容易に下流へと伝動する。また、石炭採掘の積極性にも影響し、その結果電力の逼迫を招く」。

 中国のエネルギー構造において石炭は7割の比重を占めており、巨大な資源量や開発環境、石炭品質などの複雑さを考慮すると、短期間で従価制を適用する可能性はない。

 とはいえ、石炭に従価制を適用する案は、一部の地方で表面化している。例えば、貴州省は10月1日より省内の石炭企業の原炭に対し税込価格の10%を価格調節基金として徴収することにした。省外に送る原炭と混合選炭には2回にわたって課税し、1トン当たり200元を徴収する。河南や安徽等もすでに類似の措置を採っている。

 申銀万国の分析レポートによると、これら地方政府が行政手段によって省外への石炭移出を抑制することを中央政府が賛同することは極めて難しい。実際には、今回の資源税改革において従価制が石炭に適用されなかったのは中央政府の態度を示すものである。

 従価制は資源税改革の大きな方向性であるが、最終的に実施に移されるのは、5〜10年後にインフレ圧力が落ち着き、電力価格制度が合理化されてからになるだろう。

 (中国煤炭網 10月19日)