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【エネルギー全般・政治経済】

国家能源局に代わる大型エネルギー省構想が再浮上 (12/01/09)
2012/1/13
中国【エネルギー全般・政治経済】

 2012年早々、国務院の省庁の組織的枠組みが大きく変更されるとの情報が伝わってきた。ロイター中国語ネット1月6日付報道によると、関係筋はエネルギー事務を所管する「スーパー省庁」を2013年に設置して、国家能源局に取って代わらせることを検討している。

 この点について、国家エネルギー専門家諮問委員会の委員であり、アモイ大学エネルギー経済研究センター主任でもある林伯強氏は次のように指摘する。これまでエネルギー部を設立しようとする動きはあったが、抵抗勢力に阻まれてきた。発展改革委員会の手中からいかにして権力を分割するかが今なお問題である。「しかし、現在の(エネルギー省設置に向けた)動力は以前に比べると非常に大きくなっている。なぜなら、中国のエネルギー消費量は過去5年間において急速に膨らみ、原油の対外依存度がますます高くなっているからだ。多くのエネルギー問題は最早先延ばしすることが出来なくなっている。中国は専門のエネルギー部を設け、エネルギーの構想、政策決定、そして長期的なエネルギー戦略の確定を進めることが不可欠だ」。

 中国は世界最大のエネルギー生産国であり消費国である。しかし、それとは不釣り合いなことに、中国には独立したエネルギー管理機関が存在していない。2008年に設置された国家能源局は目下国家発展改革委員会によって管理されている。

 1980年、中国は国家能源委員会を設置したが、わずか2年後には撤廃された。1988年には能源部を設置するとともに、石炭工業部、石油工業部、水利電力部、原子力工業部を廃止した。しかし、その5年後には能源部が廃止され、再び電力工業部と石炭工業部が設置された。その後16年にわたって、中国には統一的なエネルギー所管部門がなかった。

 2008年の国務院大省庁制改革の前夜、業界内では「能源部」設置の呼び声が頻りに高まったが、こうした呼び声は現実のものとはならず、最終的に設置されたのは、発展改革委員会が管轄する国家能源局だけであった。同年3月に確定された国務院機構改革案の中の国家能源委員会の設置に関する決定は、2010年1月になってからようやく実現した。国家能源委員会は温家宝首相が主任、李克強副首相が副主任を担当することになった。

 しかし、国家能源委員会という極めて規格の高い機構について、法治政府・地方制度研究センター主任の熊中央民族大学法学院教授は、《瞭望》新聞週刊のインタビューを受けた際、「国家能源委員会の組織形式は依然として国務院が指導する議事調整機構であり、独立機能機構ではないと明言している。

 エネルギーに関わる管理機能は今なお、国家発展改革委員会、国家電力監管委員会、国土資源部、国家安全生産監督管理総局といった多くの部門に分散し、極端に言えば、「準省庁クラス」の企業の手中にもある。

 消息筋によると、国家能源局はエネルギー価格決定に対して基本的に発言権を有しておらず、業務を遂行することさえも難しいものがある。

 国家能源局は価格決定権を有していないため、エネルギー市場を調節することができないのである。消息筋によると、現在国家能源局が直接的に実権を有している事務は決して多くはない。主なものは火力発電ユニットの「上大圧小」(訳注:大型火力発電所の新規建設と小型火力発電所の淘汰をリンクすること)や太陽光発電所特許事業公開入札などに過ぎない。太陽光発電特許入札の公開入札さえも、国家発展改革委員会が太陽光発電の系統連系価格を制定したため、ほとんど無意義なものとなっている。

 林伯強氏は、「発展改革委員会の職責は多すぎる。発展改革委員会にエネルギー問題を担当させると、例えばインフレ問題など、エネルギー以外の様々な分野も考慮に入れることになる。そうなれば、エネルギー管理の目標は不明確なものになる」と言う。

 初代能源局長の張国宝氏によると、米国エネルギー省には1万人、上級、下級機関も加えると10万人もの人員がいる。ミャンマー、インドでもエネルギーを管理する人数と機構は中国よりもはるかに膨大である。一方、中国の能源局はわずか100人で、「ますます大きい負担が肩にのしかかる感がある」。

 「中国は能源部を設置し、大量の人的資源を投入してエネルギー戦略のような哲学的な問題を考察することが必要だ。例えば、経済規模がこれほど大きくなれば、どこからエネルギーを持ってくるのか、エネルギー消費量がこれほど大きくなれば、価格をどのようにして決めるのか」と、林伯強氏は述べた。

 林伯強氏は、中国が能源部を推進する確率は、2008年に比べると今では極めて高くなっているとの見方を示した。

 別の消息筋によると、中国国内のエネルギー企業大手もエネルギー部の誕生に期待しており、「そうなることで、多くの部門から政策が打ち出されることを避けることが出来るようになる」。

 (東方早報 1月9日)