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中国
【原子力】

3・11から1周年 中国の原子力発電事業に再開のシグナル (12/03/12)
2012/3/12
中国【原子力】

 「中国政府は今年、原子力発電所事業の許認可を再開する」。3月10日、全国政治協商会議第11期第5回会議が「新エネルギーとクリーン・エネルギーの発展」をテーマに開いたプレス発表会において、国家核電技術公司董事長(会長)の王炳華政協委員が発した言葉は国内外のメディアで大きく取り上げられた。多くの人はこれを、福島原発事故後に「一時停止」されていた中国の原子力発電産業が再開するシグナルと見ている。今年の政府工作報告に「安全かつ効率的に原子力発電を発展させる」と記載されたこととともに、「中国の原子力発電が間もなく再開される」ことが改めて確認されたことになる。

 福島、原発の痛み

 2011年3月11日、日本の大地震と津波による福島原発の放射能漏洩事故により、世論が喚起され、原発廃棄の声が沸き起こった。3月16日、国務院常務会議は新規原子力発電事業の許認可を一時停止した。あれから丸一年、政府は新たな原子力発電所の建設を1件も承認しなかった。4月15日、運転中及び建設中の原子力発電所に対する安全検査が実施され、中国の原子力発電の発展は休息期に入った。

 安全、第一の要

 福島原発は原子力発電事業に様々な教訓をもたらしたが、中でも矢面に立ったのは安全である。中国核動力研究設計院名誉院長の楊岐委員は、「原子力発電の発展において安全第一の原則を堅持しなければならない」「設計・建造・建設・運転・退役・安全監督管理並びに緊急対応のあらゆるプロセスにおいて責任を明確にし、安全防御ラインを共同で構築しなければならない」と述べた。福島原発事故後、中国は原子力発電の安全についてより一層慎重になった。国家能源局は今年2月、原子力発電安全技術研究開発計画を全面始動した。福島の教訓を反映させ、運転中並びに建設中の原子力発電ユニットの安全技術水準と多重災害への対応能力を高めている。元国家能源局長の張国宝委員は、中国のエネルギー消費構造の中に占める原子力発電の比率はまだ極めて低いが、依然未来のエネルギーの重要な構成要素であると表明した。中国は原子力の発展を継続するが、既存の技術によって原子力発電の安全を保障できる。

 再開、至上命題

 中国核電工程有限公司副総経理(副社長)の劉巍委員は政府工作報告の討議の際、「当面中国の水力発電資源は限られ、風力発電にもコスト、蓄エネルギー技術や系統連系の制約がある。太陽エネルギーもコスト高の問題に直面している。石炭を主とするエネルギー構造を改め、2020年に一次エネルギー消費に占める非化石エネルギーの比率を15%にするとの目標を達成するためには、原子力発電の発展に力を入れることが必要だ」と指摘した。実際、中国の産業規模の持続的な拡大や、工業化と都市化水準の向上に伴い、電力供給に対する要求がますます大きくなり、エネルギー不足もますます拡大している。中国のエネルギーの「主力」である火力発電は環境圧力の制約を受け、水力発電は住民移転問題や生態系によって制約されており、いずれも大規模な拡大を続けることは難しい。風力発電や他の新エネルギーは、大役を担うことが難しく、補完の一種でしかない。「主力」に取って代わり安定的で持続的な電力供給が可能なのは原子力発電だけである。中国核工業集団公司中国原子力科学研究院科技委員会主任の趙志祥代表も劉委員と観点を同じくする。趙代表は、福島原発事故によって世界の原子力発電の発展は減速したが、業界関係者の原子力発電に対する基本認識には未だ変化はなく、原子力発電は今後中国のエネルギー需要を賄う重要な柱になるとし、「このような基本認識はたった1回の事故で単純に変わるはずがない。その他の産業でも事故は決して少なくない」と述べた。

 後発、中国の優勢

 原子力発電ではスタートが遅かった中国は相対的に先進的な第二世代技術から直接開始することが出来た。趙代表が言う「後発の優勢」である。「日本と比べ、中国の原子力発電開発には後発の優勢が備わっている。日本の原子力発電所が採用しているのは第一世代改良型。我々が採用しているのは第二世代、第二世代半の技術だ。その上、目下アメリカから第三世代技術を導入している」と、趙代表は述べた。
 
 この点について、今回のプレス発表会において、王炳華委員は改めて説明を加えた。「中央政府はアメリカの最も先進的な第三世代もしくは第三世代半の原子力発電技術の導入を決定した。極めて高い安全基準を備えており、中国やIAEAの現在の限定的な原子力発電安全基準のはるか上を行っている。今日に到るまで第三世代技術は、技術レベルや中核設備であれ、材料であれ、建設と運営管理のいずれのレベルにおいても何ら技術的障害がない」。
 
 (光明網 3月12日)