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中国
【新エネルギー】

燃料エタノール産業の発展に制約 (12/04/01)
2012/4/13
中国【新エネルギー】

 燃料エタノールは自動車排気ガス中の粒子物の排出を減らし、大気の浄化に有効であるとともに、在来の石油エネルギーの重要な補完物になる。新興エネルギーの一つである燃料エタノールは主にトウモロコシ、小麦、イモ類、サトウキビ、テンサイ等を原料とし、発酵、蒸留、脱水等の工程を経て精製される。しかし、近年、食糧の価格高騰や安全問題により、燃料エタノールが「人と穀物・土地を争う」という問題が日増しに顕著になってきた。非穀物系エタノールは、技術的な制約があり、真の意味では未だ発展を開始していない。中国の非穀物系エタノール技術はキャッサバを主とするが、今年に入ってからキャッサバ原料の供給は深刻な不足を来たし、価格が急騰して、キャッサバエタノールはコスト上の優位を失った。全体的なインフレという環境の下で、多くのキャッサバアルコール企業は資金繰りが困難になり、減産や生産停止さえも頻発している。現在、中国のキャッサバの主要供給源はタイ、ベトナム、インド等になっている。

 S&P Consultingのエネルギー産業アナリストの見方によると、現在中国の燃料エタノール企業の多くはトウモロコシ等の穀物を原料としているが、穀物系エタノール企業の発展は次のいくつかの面で難題に直面している。

 (1) 産業発展環境の圧力が日毎に大きくなっている。食糧価格の高騰に伴い、食糧の安全を脅かすのではないかと、疑問の声が絶えない。もっとも、実際にはエタノール企業が毎年消費するトウモロコシは全国総生産量の2%に過ぎない。

 (2) 企業の生存空間が圧迫されている。国からの優遇措置が次第に減少しているためである。

 (3) 非穀物系エタノール技術の研究開発が未だ打開を遂げていない。燃料エタノールが制約を受けるのは主に食糧問題の懸念からであり、そのため非穀物系路線が主な流れになるが、非穀物系エタノール工業の中核プロセスが未だ完全に打開されておらず、その実現にはなお非常に長い時間を要する。
S&P Consultingが発表した《2009〜2012年中国燃料エタノール市場発展分析報告》によると、2010年の中国の燃料エタノール利用規模は172万トン、第12次5ヵ年規画期の燃料エタノール年間利用規画目標は500万トンで、第11次5ヵ年規画期の2倍以上になる。

 (中国経済網 4月1日)