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中国
【原子力】

沿海の原子力発電所計画は津波の脅威に警戒せよ (12/06/13)
2012/6/13
中国【原子力】

 国家海洋局が6月13日に発表した《中国海洋発展報告(2012)》は、中国の沿海部は環太平洋地震帯付近に位置し、局地的な津波や大洋横断津波の脅威にさらされていると指摘している。

 同報告によると、2000年余りにわたって中国には合計52回の津波が発生した。台湾は地震による津波が頻発し、1782年の華南津波では4万人余りが死亡し、120平方キロ余りの土地が水没した。中国では津波災害の発生件数は少ないが、過小評価してはならない。

 中国は2007年に原子力発電開発について、「適正な発展」から「積極発展」に転換した。《原子力発電中長期発展規画(2005〜2020年)》は、2020年には原子力発電運転設備容量を4,000万kWにするとしていたが、2011年末時点で運転中及び建設中の設備容量はすでに3,700万kWを超えている。運転・建設・計画中の原子力発電事業は43件に上り、累計投資額は1.8兆元に達している。

 原子力発電所は大量の水資源を消費するため、中国の稼動中の原子力発電所はすべて沿海地区にある。第11次5ヵ年規画期以来、これまで一貫して沿海地区に原子力発電所を建設してきたが、人口の密集する沿海地区で大きな放射能漏れ事故が発生すると、その結果は想像に耐えない。中国は管理体制を完備し、技術の導入と国産化をより一層適切に進め、自主知財権を備える原子力発電技術応用モデルを加速しなければならない。原子力発電所の立地と設計の基準を引き上げ、設計基準をオーバーする自然災害と二次災害の二重の破壊を高度に重視して、社会、人口密度、地理・地質条件等の要素を総合的に考慮しなければならない。

 同報告書によると、今後5〜10年、中国は小康社会の建設を全面的に進め、人口はピークに達し、工業化と都市化が加速するが、沿海に原子力発電所を配置することで津波による潜在リスクも絶えず拡大する。津波災害の防止を高度に重視し、津波災害による損失を最小限に引き下げて、中国経済の持続可能な発展を確保しなければならない。

 同報告書は、中国外周の島嶼と外海エリアにおける海洋水文観測ステーションの配置をより一層最適化するとともに、中国沿海エリアにおける海洋災害リスクの全面調査を展開し、海洋災害応急指揮機構を確立して、海洋災害応急体制を完備することを建言している。

 (証券時報網 6月13日)