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中国
【原子力】

アレバと提携した広東核電集団が第三世代原子力発電をめぐって今後国家核電技術公司と競争 (2007/11/30)
2007/11/30
中国【原子力】

 フランスのアレバ社と中国広東核電集団が26日調印した80億ユーロの原子力発電契約にはどのような「秘密の技術」が含まれているのかが業界内で注目されていたが、アレバの中国地区部長戴博仁がこの「秘密」を明らかにした。

 戴博仁によると、アレバは広東核電に第三世代原子力発電技術を全面的に移転する。これにより、広東核電は、今年上半期に設立された中国国家核電技術公司と同様に世界最先進の原子力発電技術を手に入れ、第三世代へと進む中国の原子力発電市場を国家核電技術公司と分け合うことになる。

 戴博仁が昨日明らかにしたところでは、26日に調印された80億ユーロの契約には、台山原子力発電所のEPR(欧州型加圧水型炉)2基、同原子炉の15年間の運転に要する一切のサービス及び原料、技術移転、アレバ傘下のウラン鉱会社UraMinから生産量の35%(約12年間)の購入といった内容が盛り込まれている。

 一方、中国国家核電技術公司は米国のウェスティングハウスとの間で第三世代原子力発電AP1000の技術移転と原子炉中核設備の購入を契約した。戴博仁は、AP1000の移転価格は知らないが、EPRとAP1000の移転価格のどちらが安いかを比較することは難しいとしている。

 第三世代原子力発電は第二世代の改良版であり、安全性が向上した、最も先進的で、最も成熟した原子力発電技術である。この種の第三世代加圧水型炉には、AP1000、EPRとSystem80+の3つがある。

 戴博仁によると、技術移転事項にはニュークリア・アイランドと核燃料の組成技術が含まれ、アレバと広東核電は共同体を設け、アレバはこの共同体に技術を移転する。そのため、アレバと広東核電は合弁会社を設ける。合弁会社の出資比率については引き続き交渉が進められているが、アレバは50%の持分を求めている。

 こうしたやり方は、ウェスティングハウスのAP1000の場合とは異なる。中国はAP1000技術を掌握するために国家核電技術有限公司を設けた。同公司は、第三世代原子力発電技術の導入、吸収、消化及び革新を任務とし、最終的には中国の独自設計による第三世代原子力発電プロジェクトを実現するのが目標である。

 アレバと広東核電による合弁会社が成立すると、国家核電技術公司の競争相手になるのだろうか?

 この点については、国家核電技術公司の関係者によると、先日策定された「原子力発電所中長期発展計画」は「原子力発電技術の統一」をしなければならないとしており、AP1000は国が先頭に立って導入を進める第三世代原子力発電である。つまり、中国が第三世代原子力発電プロジェクトを独自で建設する場合、AP1000を採用することになる。EPR技術は一企業が導入するものであり、AP1000の地位を変更するものではあり得ない。

 しかしながら、この関係者も認めているように、広東核電は中国第2の原子力発電グループであり、急速に発展しつつある。今後10年間、EPR技術による原子力発電事業を次々と立ち上げることになろう。また、EPR技術の移転がスムーズに進めば、競争が推奨される中にあっては、技術の対外移転も支持されるに違いない。

 原子力発電所の建設において技術は致命的に重要である。中国はこれまで技術が乏しかったため、原子力発電事業の80%を技術導入に依存せざるを得ず、大量の外貨を費やしたのである。

 (中国能源網 11月30日)