中国の石炭液化はモデルプロジェクトの成功を基礎に目下高度化に向けて発展しつつあり、次のような新たな動向を示している。 (1)工程技術路線の最適な組み合わせ 石炭液化には直接液化と間接液化の2種類の工程技術路線がる。直接液化による製品は芳香族化合物の含有度が高く、軽油のセタン価が低い。一方、間接液化による製品は直鎖アルカンの含有度が高く、軽油のセタン価も高い。間接液化と直接液化の製品を相互に調和させることで石炭液化油の品質と市場競争力を高めることが出来る。神華集団はオルドス市で2008年12月に100万トン級の直接液化モデルプラントを稼動したが、間接液化プラントも建設して、間接液化と直接液化の製品の相互調和を実現するよう計画している。 (2)原料の多元化と製品の複合生産 中科合成油技術有限公司が開発した間接液化技術は2009年に内蒙古伊泰集団の年産16万トン石炭系合成油モデル工場と山西●安集団の年産21万トン合成油モデル工場への応用に成功し、「安全・安定・長期・フル稼動・高品質」の化学品連続生産を実現し、質の高い軽油、ナフサ、LPG等の製品を生産している。 ●安集団が山西省に建設する年産540万トンの石炭系合成油及び化学品複合生産プロジェクトはこの技術を採用し、目下総合設計に着手されている。その第1期は山西省長治に建設される。低品位高硫黄炭を主要原料とし、石炭採掘過程で事前に回収する炭鉱ガスとコークス炉ガスを石炭液化の補完原料とする。生産過程の水素リッチガス、高純度窒素ガス及び二酸化炭素排ガスを利用して化学肥料、LHVガスの生産や低濃度炭鉱ガス発電を行う。また、尿素とコークス炉ガスの複合生産や炭層メタン改質によって年間200万トン近くの二酸化炭素を削減するとともに、坑井水は生産用水として処理を施した上で繰り返し利用して、汚水のゼロエミッションを実現する。さらに、石炭に含まれる硫黄分もすべて回収して硫黄を生産する。第1期は2014年8月に稼動させる計画である。 伊泰集団は新疆イリに年産540万トンの石炭液化複合生産総合プロジェクトを建設する。今年初めにマルチノズル対置式CWS(コールウォータスラリー)技術を契約し、石炭投入量1日3,000トンのガス化炉5台を導入して、軽油を中心に、ナフサ、LPG等の製品を生産する。第1期の年産能力は90万トンになる。 (3)CO2回収利用 エン鉱集団は米国のAccelergy社とともに内蒙古オルドスにおいて、年産340万トン直接液化・間接液化複合生産及び微藻類吸収CO2製バイオ肥料プロジェクトのFSを展開している。このプロジェクトはAccelergy社の直接法によるマイクロ触媒石炭液化(MCL)システムとエン鉱集団独自のフィッシャー・トロプシュ間接液化工法の混合配置方式を採る。さらに、Accelergy社のTerra Syncシステム、すなわち微藻類技術によるCO2回収と循環工程を統合して、石炭液化プラントの熱効率を65%以上にし、CO2排出を100%削減することが出来る。 (中国石油化工報 6月26日) ●…サンズイに「路」
中国の石炭液化はモデルプロジェクトの成功を基礎に目下高度化に向けて発展しつつあり、次のような新たな動向を示している。
(1)工程技術路線の最適な組み合わせ
石炭液化には直接液化と間接液化の2種類の工程技術路線がる。直接液化による製品は芳香族化合物の含有度が高く、軽油のセタン価が低い。一方、間接液化による製品は直鎖アルカンの含有度が高く、軽油のセタン価も高い。間接液化と直接液化の製品を相互に調和させることで石炭液化油の品質と市場競争力を高めることが出来る。神華集団はオルドス市で2008年12月に100万トン級の直接液化モデルプラントを稼動したが、間接液化プラントも建設して、間接液化と直接液化の製品の相互調和を実現するよう計画している。
(2)原料の多元化と製品の複合生産
中科合成油技術有限公司が開発した間接液化技術は2009年に内蒙古伊泰集団の年産16万トン石炭系合成油モデル工場と山西●安集団の年産21万トン合成油モデル工場への応用に成功し、「安全・安定・長期・フル稼動・高品質」の化学品連続生産を実現し、質の高い軽油、ナフサ、LPG等の製品を生産している。
●安集団が山西省に建設する年産540万トンの石炭系合成油及び化学品複合生産プロジェクトはこの技術を採用し、目下総合設計に着手されている。その第1期は山西省長治に建設される。低品位高硫黄炭を主要原料とし、石炭採掘過程で事前に回収する炭鉱ガスとコークス炉ガスを石炭液化の補完原料とする。生産過程の水素リッチガス、高純度窒素ガス及び二酸化炭素排ガスを利用して化学肥料、LHVガスの生産や低濃度炭鉱ガス発電を行う。また、尿素とコークス炉ガスの複合生産や炭層メタン改質によって年間200万トン近くの二酸化炭素を削減するとともに、坑井水は生産用水として処理を施した上で繰り返し利用して、汚水のゼロエミッションを実現する。さらに、石炭に含まれる硫黄分もすべて回収して硫黄を生産する。第1期は2014年8月に稼動させる計画である。
伊泰集団は新疆イリに年産540万トンの石炭液化複合生産総合プロジェクトを建設する。今年初めにマルチノズル対置式CWS(コールウォータスラリー)技術を契約し、石炭投入量1日3,000トンのガス化炉5台を導入して、軽油を中心に、ナフサ、LPG等の製品を生産する。第1期の年産能力は90万トンになる。
(3)CO2回収利用
エン鉱集団は米国のAccelergy社とともに内蒙古オルドスにおいて、年産340万トン直接液化・間接液化複合生産及び微藻類吸収CO2製バイオ肥料プロジェクトのFSを展開している。このプロジェクトはAccelergy社の直接法によるマイクロ触媒石炭液化(MCL)システムとエン鉱集団独自のフィッシャー・トロプシュ間接液化工法の混合配置方式を採る。さらに、Accelergy社のTerra Syncシステム、すなわち微藻類技術によるCO2回収と循環工程を統合して、石炭液化プラントの熱効率を65%以上にし、CO2排出を100%削減することが出来る。
(中国石油化工報 6月26日)
●…サンズイに「路」