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【新エネルギー】

次第に高まる沿海風力発電開発熱 (12/07/16)
2012/7/20
中国【新エネルギー】

 沿海地区の風力発電開発熱が近年次第に高まりつつある。西北地区の在来型陸上風力発電と比べると、沿海風力発電には風力資源の持続的安定、高い風速、より大きくすることが出来る風力発電単機容量といった優越性がある。海上風力発電は効率が高く、スケールメリットは陸上風力発電よりも優れており、主に潮間帯や海浜及び近海海域に海上風力発電所を建設するが、引き潮時には陸上と同様の敏捷な施工条件が可能であり、相対的にコストが低い。

 江蘇省は954キロの海岸線を有し、風力の豊かなエリアである。利用可能な海浜面積は900万ムー余りに上り、全国の4分の1を占めるとともに、世界最大の沖合放射砂州を擁し、その数70余り、9.7億kWの風力発電機の設置が可能である。2010年には江蘇省の沿海風力発電設備容量は460万kWに達し、アジア第1位になっている。江蘇省の風力資源量は34,690.4MWに達する。風力資源は陸地から沿海へと徐々に増加し、風力等高線は基本的に海岸線に平行している。

 江蘇省の沿海風力発電開発可能総量は2,100万kW、うち塩城が1,470万kWを占める。塩城は国の計画した1,000万kW級風力発電基地8ヵ所のうちの一つであり、3MW、5MW、6MWの風力発電機がアジアで初めて稼動したのも塩城である。塩城市は582キロの海岸線を有し、海浜面積は4,550平方キロ、江蘇省全体の75%を占め、開発可能な風力発電総量の3分の2以上を占める。高度50mの年間平均風速は6.1m/sを上回り、風力発電所の建設にとっては理想的な地区になる。沿海開発と長江デルタ一体化開発という2つの国家戦略からも後押しされて、沿海風力発電は現地の沿海開発の重要な構成要素になっている。2011年の塩城市の陸上風力発電設置容量は70万kW、風力発電開発プロジェクトは26件、総投資額は152億元に上り、累計92億元の投資が完了し、新エネルギー産業の売上は100億元を突破した。

 塩城は沿海開発戦略の実施において、風力発電所内に太陽光発電所を建設し、土地の総合利用を図っている。ここ2年、海浜に太陽光発電所を建設して太陽光発電設備産業の発展を促している。風力発電タワーの下に太陽光発電パネルを設置して風力発電機の隙間の土地を利用するとともに、発電した電力は風力発電所昇圧ステーションに連系してから公共電力系統に入れることで、電力グリッドの共有を実現している。2011年の塩城の完成済み太陽光発電所は70MWで、系統連系容量では省全体の70%を占めた。

 海浜・浅海部に風力発電所を建設する場合、風速が高く、乱流が小さく、減価償却期間が長く、発電コストが大幅に下がり、石炭火力発電よりもコストを下げることも可能である。その上、江蘇省北部沿海地区は長江デルタの後背地にあり、電力負荷の中心に極めて近い。海上風力発電産業は風力発電機の製造、部品、海底ケーブル、海上施工設備製造や保守など関連産業の発展にも波及する。

 このように江蘇省北部の沿海風力発電は新エネルギー開発の希望材料であるが、打開を要する問題も多い。

 第1に、海上風力発電機は課題に直面している。海上風力発電設備に必要な耐腐食技術は複雑であり、条件も厳しい。発電機システムに要求される信頼性も高い。長江以北は台風による影響が比較的小さく、気象災害の確率は低いものの、台風に対する防御は海上風力発電開発にとって克服すべき課題である。

 第2に、付帯施設が十分でない。電力グリッドの建設が海上風力発電の開発ペースに追いつくことが出来なければ、電力グリッドは新たに増える風力発電電力を消化出来ない。電力グリッドの中で風力発電の比率が5%を超えると、スマートグリッドによる調節が必要になる。

 第3に、沿海風力発電開発は環境面からの制約を受ける。塩城の海上風力発電プロジェクトの系統連系に当たっては、軍、港湾、水路、干拓地、保護区等のエリアを横断しなければならない。珍鳥自然保護区を横断する場合、地下ケーブルを埋設する必要があり、環境保護評価の条件も厳しい。また、海底ケーブルのルートは養殖場や錨地、防波堤等との間でも問題が生じる。

 (中国投資諮詢網 7月16日)