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中国
【エネルギー全般・政治経済】

経済の下振れ圧力拡大で石炭需要の伸び率が引き続き減速 (12/08/02)
2012/8/9
中国【エネルギー全般・政治経済】

 2011年の石炭市場は全体的に需要が堅調であり、石炭生産量は着実に増加し、輸出の減少が続いた一方で、輸入が過去最高を記録した。しかし、多くのアナリストは、2012年の石炭需要の伸び率は2011年末からの減速傾向が持続すると予想している。

 今回の減速傾向は2011年11月から始まり、同月の重点発電企業の石炭消費の伸び率は10月期の17.9%から9.5%に落ちた。こうした点について、中国石炭輸送販売協会の担当者は、短期的に国内経済の伸び率が下がり、多くのエネルギー多消費企業、特に鉄鋼工場は減産を余儀なくされ、電力需要の低下によって年末の石炭需要の伸び率が鈍化した。中国電力企業聯合会の予測では、2012年の電力使用量は比較的急速な伸び率を維持するものの、2011年の伸び率に比べると2ポイント下がって9%前後になる。電力事業の石炭需要は約1.5億トン、8%前後増加する。「電力は主要な石炭消費産業であり、電力需要の鈍化は一定程度石炭需要の鈍化をもたらす」と、石炭通のアナリストは指摘する。

 中信証券の予想によると、固定資産投資の伸び率低下も2012年の石炭需要に影響を及ぼす。GDP成長率8%に前提にすると、通年の石炭需要は6%以上の伸び率を維持する。石炭需要の鈍化だけでなく、石炭産業の生産能力にすでに過剰が生じていることにも注目すべきである。2010年に中国の石炭総生産能力は37億トンに達し、同年の生産量32.4億トンで計算すると、生産能力の87.5%が発揮されたことになる。鋼鉄資訊煤炭網の予想では、2012年の全国石炭生産能力は42億トンに達し、早くも国が計画している2015年の生産能力規模に達することになる。石炭生産能力の過剰のため、石炭価格の上昇は難しい。

 陝西省煤炭工業協会の趙生茂事務局長によると、石炭の生産能力と生産量が増加する一方で、需要の比較的高い伸び率が維持されれば、石炭産業の好景気は続くが、2012年は国内外の石炭需要の大幅な増加は不可能であり、場合によっては委縮も発生する。

 さらに、「エネルギー多消費産業の稼働率が低下すると、コークスや電力の消費が減少して、石炭市場の供給過剰が激化し、石炭価格を押し下げる」との見方もある。エネルギー経済の専門家である林伯強アモイ大学中国センター主任は、「一部の地方政府は必要があれば、相応の措置を講じてエネルギー多消費企業の電力使用を制限することになる。一つは電力の逼迫のため、もう一つは省エネ・排出削減圧力のためだ」と指摘する。

 (国際煤炭網 8月2日)