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【石油・天然ガス】

シェールガスが5〜8年内に中国エネルギーの新たな突破口に (12/10/22)
2012/11/2
中国【石油・天然ガス】

 近年、国際社会においてシェールガス開発が世界のエネルギーの一大革命となり、世界の天然ガス市場とエネルギー供給構造に重大な影響を与えるという見方が普遍的になっている。
 
 中国経済が資源と環境による二重の制約を受け、石油等のエネルギーの対外依存度が絶えず上昇する中、シェールガスは大きなポテンシャルを備える新興エネルギーとして期待を集めている。

 10月25日に行われる第2回全国シェールガス探鉱権入札は、参入基準が若干引き下げられ、中央企業、大手国有企業及び実力のある一部民営企業も含む100社近くが参加することになり、シェールガス開発ブームが巻き起こっている。

 中国のシェールガス資源は豊かである。エネルギー専門家の分析によると、打開を実現したならば、天然ガス需給ギャップの緩和、エネルギー構造の調整、省エネ・排出削減の促進などの面で大きな効果を発揮する。今年3月に国家能源局が策定したシェールガス第12次5ヵ年発展規画によると、2015年には中国のシェールガス生産量を65億m3とし、2020年には600〜1,000億m3とする計画である。

 昨年末、国務院はシェールガスを独立鉱種として確立することを承認したが、そのこともシェールガスが各界から人気を博している理由の一つとなっている。アナリストによると、シェールガスを在来型天然ガスから切り離したことは、民間資本がシェールガスの探査開発分野に参入できるようになることを意味している。打開が実現すると、中国石油天然ガス(CNPC)や中国石油化工(SINOPEC)等の大手中央企業による上流資源の独占を打破することにつながる。

 しかし、中国のシェールガスは、前途有望ではあるが、未だ商業化生産段階に進んでいない。しかも、多くのハイエンド技術は米国企業が握っている。米国の昨年の生産量1,700億m3に比べると、中国はシェールガス開発利用の面で依然格差が大きい。探査から民間への普及に到るまで、そして、投資から収益に到るまでには、まだまだ長い道のりが必要である。

 「重慶を例に挙げると、2015年に市のシェールガス生産量が5億m3を突破すると、シェールガスの応用は民用化の軌道に乗る」と、重慶市国土建物管理局の周時洪副局長は言う。

 但し、周局長は一方で、重慶のような探査開発が早かった地区でさえも真の意味で経済収益を上げ、シェールガスが一般庶民の家庭にも普及するようになるには少なくとも5年の時間が必要であると強調する。

 その他にも、シェールガスの開発と利用に対する制約は大きい。例えば、現段階では水平井の掘削や埋蔵層の破砕変換などキーテクノロジーのボトルネックが中国のシェールガス開発を制約している。また、米国のシェールガス資源評価基準を中国に適用することは難しく、キーテクノロジーや資源評価等の科学技術上の難題を解決することが求められる。

 もっとも、専門家が中国のシェールガス分野への全力投入に伴って5〜8年内にシェールガスが中国エネルギーの新たな突破口になると分析していることには希望を見出すことが出来る。重慶市梁平県では中国初のシェールガス生産能力建設デモンストレーションエリアが着工された。このデモンストレーションエリアでは60平方キロの範囲内で102坑のシェールガス井を掘削し、2015年には年間3〜5億m3のシェールガスを生産することが目標である。また、重慶市永川地区では日量10万m3近くのシェールガス井から、ボンべに注入してサービスステーションに送り、車両用として供給することが開始された。民用シェールガスも徐々に実現に近づいているのである。

 (中国新聞網 10月22日)